株式の譲渡承認請求について
旧法では取締役会の承認を得ないでなされた株式の譲渡は、会社に対する関係では効力を生じないが、譲渡当事者間では有効と解されています(最高裁判決昭48・6・15)。
したがって、会社の了解なしに買い主を見つけることに法的に可能です。あとは、以下に述べる手続を貴殿が行うか、既に譲渡したものとして株式取得者が行うかの違いとなります。
新会社法も、上記最高裁判決を前提に、元々からの株主と譲渡制限株式を取得した株式取得者のいずれからも、株式会社に対し、譲渡を承認するか否かの請求権を認めています(会社法136条ないし138条)。譲渡承認を受けた株式会社は、承認をしない場合には、自ら買い取るか、あるいは指定買取人による買い取りを承認請求者に通知する必要があります(会社法139条ないし142条)。
株式会社が、譲渡承認の請求があった日から2週間以内に承認するか否かの通知をしなかった場合及び通知をしたときでも通知の日から株式会社が買い取る旨を通知しなかった場合(指定買取人が通知の日から10日以内に買い取る旨を通知しなかった場合には、会社法は、株式会社が譲渡を承認したものと見なしています(会社法145条)。
株式会社又は指定買取人との間の売買価格の決定は、株式会社と譲渡等承認請求者との協議によって定めるとされていますが、裁判所に売買価格決定の申立をすることもできます(会社法144条)。一般的には、売買価格は、1株当たり純資産額(資産から負債を控除した金額を総株式数で除した金額)に、対象株式数を乗じた金額となります(会社法144条5項)。
決算上、純資産があれば上記手続を行う価値はあると考えられます。
2013/03/07 14:29