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山下高博 やました たかひろ

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事例・コラム

2024/07/01 10:14

体のサイズに合ったギター

実際にあったお話

あるお客様がギターの先生とギターを選びに見えました。そのお客様は小柄な女性でいろいろと試奏されて悩んでいました。現在は標準サイズのギターを持ってみえるのですが、弾き易い630mmのギターをと言う事で加納木魂さんのギターを2本比べられていました。
そのAとBのギターを私やその先生が弾き比べるとAは柔らかく、甘く太い音で、Bは華やかに明るく鳴ります。最初は先生もBの方が楽器の持っているキャパシティが大きい感じがするのでBの方が良いのではとアドバイスされていました。私も同意見でした。
でも、その女性が演奏するとAの方がしっかりした音が出て、演奏も自信に満ち、音楽的にも良い演奏になるんです。
AとBの違いはボディの大きさだけで、弦長も同じ630mm、ネックの幅もゼロフレットで50mm、12フレットで60mmと全く同じ、製作者も同じです。Aはボディの横幅がスリムに作ってあり、縦寸法は全く同じです。これはお子さんや体の小さい方用に私が依頼して作って頂いたギターです。

以前、藤井敬吾さんの公開レッスンで姿勢と左手の構えを直しただけで左小指の力が何倍にも大きくなったというお話を伺いました。つまり姿勢によって如何に楽に、小さな力で指先に大きな力を伝達出来るかという事です。この事が改めて私の脳裏に蘇りました。この方の体にはAのギターが合っていたので、楽な正しい姿勢で演奏できたのです。その為に出てくる音が違うだけでなく、演奏内容、音楽まで違ってきたんです。この方が「11月のある日」の後半のフレーズでセーハをする難しい箇所をAのギターでは三弦の音もチャント出るのに、Bのギターでは出なかったんです。弦長とネックの太さは同じなのに。

先生も私もこの方には断然Aのギターだと確信を持ち、ご本人もそれで決断されました。どちらかと言うとBのギターの音色の方が好きだと仰っていましたが、体に合っている事から来る、演奏のし易さ、出てくる音と音楽の違いからAを選ばれました。

如何に体に合ったギターが大事かと言う事を再認識し、ショートスケールは鳴らないとか、ボディが小さいと鳴らないと言う思い込みは捨てなければいけません。体に合ったサイズのギターで、弾き易い事が音にも演奏にも影響するのです。姿勢が如何に大事かと言うことを改めてガッテンした次第です。

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