2024/10/15 13:55
クレモナムジカは、毎年9月最終の金~日曜日にイタリア北部、ロンバルディア地方のクレモナ市郊外で開かれる楽器の見本市です。特にヴァイオリンの街クレモナらしく弦楽器の出展ブースが充実したヨーロッパ最大級の規模を誇ります。かつてはフランクフルトのメッセがその中心地でしたが、現在では中国・上海のメッセが世界最大となっており、クレモナの開催時期と2週間差ということもあって、クレモナの出展の後、上海の準備にも取り掛かる製作家や団体も多く、慌しくも商業活動が活発な季節といえます。
ヴィルトゥオーゾは主に出展ブースを満遍なく回り、製作家たちの楽器の見学や実際の注文、輸送時期の確認などを行います。以前は、ホテルも容易に取れないこの時期をずらし開催の前後に訪問日程を取って、ゆったりと各製作家工房を直接回ることで関係を図っていました。今でも、また今回も直接の工房訪問は製作家との基本的なコミュニケーションを図る上で最優先ではありますが、見本市を訪問するメリットもあり、逆にデメリットもあります。
デメリットとしては、会場が広すぎて全部回ろうにも相当な体力労力を費やすことです。
ただ見学するだけでは単なる散歩、運動にすぎません。ここで何をするのか、誰に合うのか、目的を遂げるためにどうするか、何を探すかなど事前にシミュレーションしておかないと、会場・人・周囲の音響に呑まれ埋没する自己を味わうだけで終わってしまいます。私も若い頃はこのような場が苦手で会場で孤独感を感じたものです。会場が市内から離れているため、一般的にバスなどの移動も面倒な点の一つですが、私どもは幸いクレモナのオフィスのパートナーがいるため車移動をすることができ効率化を図れます。
メリットはやはりひとところで多くの製作家やメーカーに会うことができるということ。
今回は出張中に30名以上の製作家と会う約束をしていましたので、個々に訪問できる人数は限られてしまいます。個人で出展ブースを持っていたり、製作家協会や、アソシエーションのブースで参加している製作家とは会場で会うことによって時間の効率化を図ることができました。また初めて見る製作家の作品も中にはあり、若手の中から良い作り手さんを探すというのも大切なところです。(VOL.2に続く)
(代表取締役 杉田 直樹)