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住宅を無理して買うのは禁物?身の丈にあった住まい選びのポイントとは?

2020/12/22

「夢のマイホーム」を手に入れた人たちにとって、思わぬ落とし穴になりがちなのが、購入後の住宅ローンの返済です。「これぐらいなら返せそう」と思って購入したにも関わらず、実際には普段の生活をかなり切り詰めなければならず、「こんなはずじゃなかった・・・」と後悔する人も少なくありません。新居での豊かな暮らしを手に入れるためには、資金計画を立てて家づくりを進めることが重要なのです。そこで今回は、無理のない家づくりをモットーに掲げる株式会社ヤマカ木材の福本和真さんに、身の丈にあった住まい選びのポイントについて詳しくお聞きしました。

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住宅は無理して立派なものを買わないといけないのか?

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住宅を購入するかどうかは、最終的にはお客様次第であり、どうしても買わないといけないというものではありません。家づくりの本来の目的は、家を購入すること自体ではなく、家づくりをして「どんな生活を実現したいのか」にあるからです。なかには普段の生活費をかなり切り詰めて新居を購入される方がいらっしゃいますが、家づくりの後、住宅ローンの返済に追われるような暮らしが待っているのであれば意味がないと思います。

家づくりを進めるうえで最も大事なことは、建ててからの暮らしを考えながら家づくりに取り組むことです。そのためには、金銭的に無理のないプランを立て、過度に生活を切り詰めることなく、ある程度の余裕を持って住宅ローンを返済できる金額で家づくりをすることが大事です。

家づくりは、「土地」「建物」「資金」の3つのバランスが重要です。どれかに偏っても満足のいく家づくりはできません。住宅会社から受ける提案は、建物の間取りやデザイン、土地の話が中心になりがちですが、一番大切なのは「無理のない家づくりをしていくこと」なのです。

無理のない住まいづくりとは?返済金額の目安は?

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住宅ローンを組む時には、毎年の返済額が「年収の3~4割程度」に収まるようにプランを練るのが一般的です。年収500万円の方であれば、年間150~200万円程度、毎月の返済額にすると10~15万円弱になります。ただ、私の考えでは、住宅ローンの返済額は、最大でも年収に対して2.5割程度までに抑えるのがいいと思います。かなり余裕を見て購入すべきです。

年収500万円の方であれば、毎月の返済額が10万円を切るくらいの金額になりますが、これくらいの金額でも、実はかなりいい家を建てることが可能です。家を建てる前に住んでいた賃貸物件の家賃と比較し、毎月の住宅ローンの返済額が以前の家賃とそれほど変わらない金額に抑えて建ててもらうのが良いと思います。

住宅ローンを無理のない返済額に抑えるためにも、家づくりはまず資金計画を立てるところからスタートすべきです。間取りなどを考えるのはその後から。最初に無理のない返済計画を立て、そのうえで具体的なプランを考えるという流れで家づくりを進めれば、契約後に金額がプラスされていくようなこともありません。この手順を踏むことで、建ててからも安心して暮らせる家づくりが実現できるはずです。

建ててからの生活をきちんと考えることが大事

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自分にとって無理のない住まいづくりを進めるためには、「建ててからの生活について考えること」が重要です。

そもそも家づくりは、「夢のマイホーム」と言われるくらいですから、誰でもテンションが上がるものです。ただ、このテンションのまま突き進んでしまうのはとても危険です。イメージがどんどんと膨らみ、「あれも欲しい」「これもいいな」と家具や設備が増えていく。気が付けば、当初の予算をかなりオーバーしていたなんてことも少なくありません。建ててからの生活を考えるのであれば、まずは無理のない返済を第一に考えることが重要なのです。

私たちの会社の場合、そもそもお客様の単価を上げようという発想で家づくりはしていません。このあたりは通常のハウスメーカーと大きく違うところだと思います。

住宅の契約を行うのは、あくまでお客様の資金計画を立てて住宅の購入金額が決まってから。その後に間取りなどのプランニングに入っていきます。私たちは規格住宅を販売している会社ですから、注文住宅をメインで販売する会社に比べてやりやすい面はあると思いますが、無理のない家づくりを考えるうえでは、やはりプランありきではなく、お客様の資金計画をきちんと考えてくれる会社を選ぶことが大事だと思います。

無理のない住まいづくりの成功事例を紹介

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では、どんな家づくりをされた方が、実際に「無理のない理想の暮らし」を手に入れているのか。私が担当させていただいたお客様の具体例をご紹介したいと思います。

あるお客様は、それほど年収が高い方ではありませんでしたが、「庭でバーベキューがしたい」というご希望をお持ちでした。ただ、土地を探しているエリアは地価が高く、建物の金額を含めると予算オーバーでした。そこで、不動産屋さんをいくつも回って掘り出し物の土地を見つけ出し、そこに家を建てることにしたのです。

周辺の土地の相場価格よりもかなり安い金額だったため、当初の予算をオーバーすることなく「庭でバーベキューがしたい」という夢を実現させることができました。購入後の住宅ローンの返済も無理のない金額に抑えることができ、お客様からも非常に満足していただいています。

家づくりは、「家を建てて終わり」というわけではありません。その後の長い生活が待っているわけです。だからこそ、無理な住宅ローンを組み、せっかくの新生活が苦しくなってしまうのであれば本末転倒です。きちんと資金計画を立てることで、建ててからの生活に満足できる家づくりを実現していただければと思います。

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