特集
2021/04/01
今、オリジナルの動画を制作し、店舗や商品の販促に活かす中小企業が増えています。以前であれば、制作に高額の費用がかかることが多かったですが、ここ数年は安価な機材などが登場し、動画クリエイターも増えたことで、販促ツールとして気軽に動画制作ができる環境が整ってきています。そこで今回は、販促用動画、PR動画の制作を行っているTM designの松森健さんに、動画を使った販促のメリットや活用のポイントについてお聞きしました。
中日教えてナビ
編集部
今、売上アップを考えている中小企業のみなさんから注目を集めているのが「動画」です。大手企業では以前から動画を活用したマーケティングが積極的に展開されてきましたが、最近ではこうした流れが中小企業や個人店などにも広がり始め、オリジナルの動画を制作して販促に活用するケースが徐々に増えてきています。
販促ツールとしての動画の一番の特徴は、他の方法に比べて記憶に残りやすいことです。動画は動きがあるため目を引きやすく、映像や文字だけでなく音を出すこともできるため、よりたくさんの人から注目を集めることが可能です。また、動画を見る人は「見る・聞く・読む」という3つの感覚を使うことになるため、より記憶に残りやすいことがさまざまな研究データからも明らかになっています。
こうした動画のメリットを把握したうえで、売上アップの販促ツールとしてうまく活用していくことが、大企業のみならず中小企業においても今後のビジネスの成長に欠かせない重要なテーマになってきているのです。
これまでの販促方法は、写真やテキストが主体であり、文章を読んで理解するまでに時間がかかる、人によって解釈が違うというデメリットがありました。一方、動画では、より直感的に見て、聞いて、読んで理解を深めることができ、より分かりやすく相手に内容を伝えることが可能です。
販促においては、伝えたいことを確実に簡単に正確に伝えることが大切です。その点、動画であれば、店舗や企業側が意図している内容を、より的確に訴求することができます。
動画は、多くの情報を早く確実に伝えられ、記憶に残り、理解、購買もされやすいです。アート的抽象的な表現、アーカイブ、アニメ、インフォマーシャルなど、表現手法がたくさんあるのも大きな特長です。
スマホ、タブレットなどのデバイスの普及、性能の向上、通信エリアや5Gなど通信環境の向上、YouTube、SNSなどの動画配信プラットフォームの充実などにより、以前に比べて簡単に動画が見られる環境になっています。YouTube広告などのWEB広告も利用しやすくなっており、動画は商品のPRや取扱説明からブランディングまで幅広く利用することができます。
ここでは、料理や食品の商品をアピールするための動画を作成するケースを考えてみたいと思います。料理動画を制作する場合のポイントとなるのは、「シズル感」です。
シズル感とは、食べ物のつや、湯気などを活かし、食欲をかきたてるような表現をすること。そこで、光の当て方などを工夫し、スローやアップなどを駆使してドラマチックに撮影するようにします。そして、撮影された動画を編集し、より一層おいしさを感じてもらえるような魅力的な動画に仕上げていきます。こうして制作された動画は、ウェブサイトはもちろん、デジタルサイネージ、動画広告、SNSなど、さまざま媒体で活用することが可能です。
シズル感のある料理動画は、お客様からの反応も非常にいいです。おいしそうな動画を食事前のお客様に見せることで、ウェブでのクリック数が上がり、大きな反響につなげることができます。
この動画をうまく活用するためのポイントは、配信する時間帯を工夫することです。お昼前や深夜に配信すると、特に反応が大きくなる傾向にあります。単に動画を制作するだけでなく、「どの時間帯にアップするのが最も効果的なのか」といった点を考えることも重要なのです。
動画の制作をプロに依頼する際には、以下の3つのポイントを押さえましょう。
【1】何のために動画を作るのか?
「商品を販売するため」「商品を説明するため」など、まずは動画を制作する目的をしっかりと定めましょう。
【2】誰に見せたいのか?
「小さなお子さん」「高齢者」「中高年」「若い女性」など、動画のターゲットを明確にしましょう。この時、すべての人をターゲットにするのはNGです。ターゲット層によって趣味・嗜好が異なるため、その層にマッチする動画を流さないと訴求効果が十分に得られないからです。
【3】動画の雰囲気・イメージは?
動画のイメージを固めることも大事です。イメージがない場合は、制作者と多くコミュニケーションを取ることをお勧めします。制作途中で方向性がぶれ、完成後ミスマッチが起こりがちです。もしイメージが固まっていないようであれば、イメージづくりから手伝ってもらいましょう。イメージを具体化させるために、まずは一度相談してみるというのもおすすめです。また、販促を考えるうえでは、動画にたどり着くまでにどのような施策を講じるのかも重要です。
クリエーターにも得意分野、得意な表現があります。動画を活用した販促とトータルでブランディングできるところは限られてくるので、制作事例など見ながら、気になる制作者がいたら、ぜひ気軽に相談してみてください。