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妊娠・出産でかかった医療費は確定申告すべき!医療費控除の手続き方法

2021/03/19

子供が生まれるのは楽しみですが、どうしても気がかりなのは、妊娠中の健診や入院・分娩など、出産までにかかる費用。ただ、そんな時こそ医療費控除をうまく活用し、税金を少なく抑えて還付金を受け取ることも可能です。そこで今回は、出産費用の医療費控除と還付金受け取りまでの流れについて、税理士の米津晋次先生に詳しくお聞きしました。ポイントをきちんと整理し、確定申告に向けてしっかり準備しておきましょう!

米津 晋次

平日夜10時まで休日も対応する税理士

米津 晋次

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医療費控除の基本と対象になるもの・ならないもの

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医療費控除とは、病院の診察料や薬代などを一定額以上支払った場合に最大200万円まで所得控除が受けられる制度です。確定申告をすることで払い過ぎた税金が戻ってくるため、条件を満たすのであれば利用しない手はありません。

医療費控除の対象になるのは、一般的な医療費の水準を著しく超えない金額の範囲とされています。具体的に対象となるのは、妊娠中・産後の定期健診や、検査などの費用、通院費用、入院費、分娩費などです。

通院費については、公共交通機関を利用した場合、その支払い金額を忘れずに家計簿に記録しておきましょう。ICカードを利用した場合には、その利用履歴を保管しておきます。公共交通機関による通院が困難な時に利用したタクシー代も対象なので、レシートや領収書などを必ず受け取りましょう。また、入院中の食事代やシーツ・枕カバーのクリーニング代についても原則対象になります。

一方、出産のために実家に帰省する際の交通費や通院時のガソリン代は、対象にはなりません。入院時に購入したパジャマや洗面用具などの費用も対象外です。パジャマや下着のクリーニング代も対象になりません。差額ベッド代については、自分で希望した場合は原則対象になりません。ただし、病状により医療機関が個室を指定してくる場合や、相部屋の空きがないなど医療機関の都合でやむを得ない場合は医療費控除の対象となります。

実際にどれくらいの還付金がもらえるのか?

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医療費控除の対象となる医療費は、本人だけでなく生計をともにしている家族と合算することができます。この場合、医療費控除を活用するのは家族の中で最も所得が多い人にするのがベストです。所得税は累進税率となっていますので、そうすることで医療費控除を最も多く受けられます。

医療費控除の対象額は以下の通り算出されます。

【医療費控除の対象額】=(1年間の医療費の合計額)-(医療費を補填する金額)-10万円
※ただし、所得が200万円未満の場合10万円ではなく所得の5%相当額を差し引きます。

「医療費を補填する金額」とは、健康保険組合などから支給される出産育児一時金や家族出産育児一時金、高額療養費のほか、生命保険の入院給付金などです。要するに出産に伴う実際の自己負担額から10万円を差し引いた金額が、医療費控除の対象となるわけです。ただし、出産手当金は産前産後に勤務できないことに対して支給されるものですので、医療費から差し引かなくてよいことになっています。

例えば、所得が400万円の人で出産時の自己負担額が30万円だった場合、自己負担額から10万円を引いた20万円が医療費控除の対象となります。医療費控除の対象金額に控除後の所得(課税対象所得)に応じた所得税率をかけた金額が還付金となります。上記の例で所得税率が10%の場合、20万円×10%で2万円が還付金額となります。

医療費の明細書は必ず保管!あとで提出を求められることも

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医療費控除の確定申告を行う場合、以前は医療費の領収書などを合わせて提出する必要がありましたが、「医療費控除の明細書」を作成して確定申告書に添付すればいいことになりました。確定申告の際の手間が多少軽減されたと言えます。

ただし、領収書などの保管が不要になったわけではないので注意が必要です。そもそも明細書の作成時には、請求書や領収書、レシートなどに記載されている金額や支払い先の情報が必要になるため、医療費の請求書や領収書は捨てずに保管しておかなければなりません。

また、確定申告を終えた後、税務署から問い合わせを受けることも十分考えられます。その際、医療費控除の明細書の根拠となる領収書などの提出を求められることがありますので、確定申告が終了した後も、5年間はきちんと整理して保管しておきましょう。明細書を作成して確定申告を終え、還付金を受け取ったら廃棄してもいいわけではありません。くれぐれも注意しましょう。

確定申告から実際に還付金を受け取るまでの流れ

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確定申告は、個人事業主など確定申告義務のある人と、サラリーマンなど確定申告義務のない人とで流れが変わります。

確定申告義務のある人は、毎年1月1日から12月31日までの間に実際に支払った医療費について、基本的に翌年の2月16日から3月15日までに住所地を管轄する税務署に対して申告します。一方、確定申告義務のない人の還付申告については翌年1月から申告できますし、翌年1月1日から5年間は遅れて申告することも可能です。

提出する書類は、確定申告書と医療費控除の明細書です。医療費の明細書の様式は、国税庁ホームページからダウンロードするか、税務署窓口で取得できます。

書類の提出は、税務署の窓口や郵送のほかe-Taxでインターネット経由で行えます。なお、e-Taxの利用にはマイナンバーカードが必要になるため、事前にマイナンバーカードを取得しておきましょう。国税庁HPの確定申告書作成コーナーなら、マイナンバーカードが不要のID・パスワード方式も利用できます。

申告後、書類の不備などがなければ申告書に記載した口座に還付金が振り込まれます。振り込みまでの目安は、通常申告後1ヶ月から2ヶ月程度で、e-Taxを利用した方が早く振り込まれるようです。医療費控除を活用すれば、課税所得額が低くなり、翌年度の住民税も安くなる人が多いです。ぜひこの機会に医療費控除に挑戦してみましょう。

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