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【初めての産休&育休の不安もこれで解消】休業期間ともらえるお金をFPが詳しく解説!

2022/02/18

仕事をもつお母さんにとって、妊娠~出産における休業期間と収入は、とても気になるものです。産休と育休の違いについて、大まかに知っていても、しっかりと理解できていないという人も多いのではないでしょうか? そこで今回は、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーの大森英則先生に、産休・育休の期間やもらえる手当などについて詳しくお聞きしました。

大森 英則

保険・資産運用のスペシャリスト

大森 英則

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産休期間は、産前休業が6週間、産後休業が8週間。派遣社員やパート社員でも取得可能です。

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産休や育休は、いずれも妊婦さんやお母さんの健康を保護することを目的とした、法定の休業制度です。産休は「労働基準法」、育休は「育児・介護休業法」に基づくもので、それぞれ取得できる期間や要件が異なります。まずは産休について、誰がどのくらいの期間取得できるのか確認しておきましょう。

産休には、大きく「産前休業」と「産後休業」があり、それぞれ取得できる期間と要件が決まっています。「産前休業」の取得期間は産前6週間で、双子などの多胎妊娠の場合は産前14週間となります。

産前休業を希望する場合は、本人が勤務先に請求して取得します。勤務先は、この申し出を断ることはできず、必ず休業を取得させなければいけません。ただ、もし本人が産前休業を取得せず、そのまま働くことを希望している場合には、出産まで働き続けることもできます。

一方、出産後に利用する「産後休業」の取得期間は、産後8週間です。出産日は産前休業に含まれるため、出産日の翌日から起算します。なお、出産は妊娠4カ月以上の分娩をいい、死産や流産も対象となり、派遣社員やパート社員であっても取得することが可能です。

産後休業は、本人が希望する・しないに関わらず、勤務先の義務として就業が禁止されています。ただし、本人が希望した場合で、医師が支障ないと認めた業務であれば、産後6週間が経過した後であれば働くことも可能です。

育休の取得期間は原則1歳まで。一定の要件を満たせば最長2歳までの延長もできます。

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育休は、1歳未満の子どもを養育する男女労働者が、遅くとも休業開始1カ月前までに会社に申し出ることで取得できる制度です。育休を取得できる期間は、原則として子どもが1歳になるまでの間で、希望する期間となります。

ただし、子どもが1歳になっても保育所に入れないなど一定の要件を満たす場合は、勤務先に申し出ることによって、最長2歳に達する日まで育休を延長できます。

育休取得の要件は、「(1)育休の申し出時点で、過去1年以上継続して雇用されていること」、「(2)子どもが1歳6カ月(2歳まで育休を延長して取得する場合は2歳)に達する日までの間に雇用契約が更新されないことが明らかでないこと」の2点です。

例えば、転職して1年に満たない場合や、子どもが1歳6カ月または2歳になる前に雇用契約が終了する場合には、取得することができませんので注意が必要です。

育休は、要件を満たせば男性でも取得でき、男性ならではの優遇措置があるのが特徴です。本来、1人の子どもにつき1回の休業が原則のところ、子どもの出生後8週間以内に男性が育休の取得を開始・終了した場合、再度育休が取れる「パパ休暇」があります。また、両親とも育休を取得する場合、育休対象となる子どもの年齢が原則1歳までから1歳2カ月まで延長される「パパ・ママ育休プラス」の制度もありますので、ぜひ前向きに検討してみて欲しいと思います。

産休・育休期間中に支払われる「出産育児一時金」「出産手当金」「育児休業給付金」を理解しておこう

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産休・育休の期間中は、会社から給料が支給されず収入が減り、出産・育児に費用がかかることから、出産や育休に関する手当が支給されます。また、社会保険料や国民年金など、産休・育休期間中に免除される支払いもありますので事前にしっかりと確認しておきましょう。

「出産育児一時金」は、健康保険の加入者が出産したとき、1人の子どもにつき42万円(産科医療補償制度加算対象出産でない場合は40万8,000円)が、加入する健康保険組合から支給される制度です。出産した病院に直接お金が支払われるため、退院時に出産費用の全額を払う必要がなく、安心です。

「出産手当金」は、産休中に健康保険から1日につき賃金の2/3相当額が支給される制度です。支給対象期間は、出産日以前42日(多胎妊娠の場合98日)から出産日の翌日以後56日までの会社を休んだ期間です。産休中も会社から給与が支払われる場合は支給されませんが、給与の額が出産手当金より少ない場合は、差額分が出産手当金として支給されます。

「育児休業給付金」は、育休期間中、原則として休業開始後6カ月間は賃金の67%、6カ月経過後は50%の育児休業給付金が支給される制度です。ただし、過去(育休開始日前)2年間において、1カ月間で賃金の支払いを受けた日(賃金支払基礎日数)が11日以上ある「完全月」が12カ月以上あることが要件となります。

2022年度に育休制度が大きく変わる!今後の動向をしっかりとチェックすることが大切です!

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会社によっては、休業中も一定割合の給与を支給したり、法定よりも長い休業期間や独自の休業制度を設けたりしている場合もあります。また、休業の申請のタイミングや書式など、会社の規定に従って手続きする必要があります。妊娠が判明したらなるべく早いタイミングで会社に相談して、スムーズに産休に入れるように計画しましょう。

赤ちゃんができた喜びの一方、今後の生活に不安を感じることのないよう、取得できる休暇や、その間に受け取ることができる給付金については、今のうちからよく理解し、自分なりにまとめておくことが大切です。

なお、2022年度は、産休・育休制度が大きく変わります。有期雇用労働者について、育児・介護休業の取得要件が緩和されたり、出生直後の育児休業取得が柔軟になったりするなど、より便利に利用できるように制度の見直しが行われていきます。出産を控えている人は、今後の動きをしっかりチェックしておくようにしましょう。

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