特集
2017/12/11
いよいよ本格的な冬が到来し、そろそろ周りにも風邪を引く人が増えてきているのではないでしょうか。つらい風邪を引くのは、誰しも避けたいところ。そこで今回は、漢方の専門薬局「皇漢堂林薬局」の林誠一先生に、風邪をひきにくくする方法をお聞きしました。どんな食べものが免疫力を高めるのか。そして林先生自身はどんな予防法を実践しているのか。漢方薬を上手に使いながら病気を未然に防ぎたいという方、必見です!
そもそも漢方薬は、一般的な市販の薬とはその目的や効果が違います。例えば、病気の時によく処方される抗生物質は、病原菌を直接殺すものです。一方、漢方薬は、病原菌を直接的に殺すものではありません。体を温めるなど、私たちの体に本来備わっている自然治癒力を高める働きを持っています。
風邪を引いた時、解熱剤を飲むとします。すると体温は一時的に下がるわけですが、平熱になっても病原菌が死んでいるわけではありませんから、体の抵抗力が弱まっていれば、繰り返す場合もありえます。
新陳代謝が高い人は、病原菌に対する抵抗力が高く、風邪をひきにくいと言われます。体の中に菌が入ってきても、それ以上広がることが少なく、病気になりにくいのです。こうした体にするのが漢方薬の役目です。なかには、抗がん剤の副作用で体が弱っている方が、症状を和らげるために漢方薬を飲むといったこともあります。
ただ、一般の医薬品と同じように漢方薬にも副作用があり、体にあわないものを飲むのは危険です。素人が安易に選ぶのは禁物。確かな知識を持つ専門家に相談し、体にあうものを選んでもらうようにしましょう。
最近では、漢方についてインターネットで簡単に調べられる時代になりました。もちろん、ご自身で漢方薬の知識を深めることは良いことです。ただ、このことが安易に自分で判断し、体に合わない薬を選んでしまう原因にもなっています。繰り返しになりますが、きちんと専門家に相談することが大事です。
近頃は、ドラッグストアでも漢方薬が手に入ります。ただ、注意が必要なのは、たとえ薬剤師であっても、必ずしも漢方薬に詳しいわけではないこと。また、さまざまな種類の漢方薬が販売されており、含有量の違いにより、濃いものや薄いものがある点にも注意しましょう。一概に薄いものが悪いというわけではなく、その分副作用が少ないというメリットもあります。くれぐれも体に合うものを選ぶことが大切です。
これからの季節、風邪を引かないように免疫力を高めたいという方も多いことでしょう。そこで、身近な食材で免疫力を高める方法についてご紹介したいと思います。
まず、食べ物は、何か特定のものだけを食べるのではなく、バランスよく取ることが大切です。また、病気は、暑さ・寒さに体がうまく順応できていないことが原因になることが多いため、体を季節に順応させるような食べ物を選ぶようにします。暑い夏には体を冷やすものを、寒い冬には体を温めるものを選ぶのが基本です。
寒い時期に辛い食べものを食べる人もいると思いますが、辛いものはエネルギーを発散してしまうのでおすすめしません。逆に甘いものはエネルギーを蓄えて体を温めるため、寒い季節に向いている食べ物だと言えます。このように、季節に順応した食べ物を考えながら選ぶようにしましょう。
風邪を予防するため、冬になるとしきりにうがいをする人も多いと思います。ただ、うがいは病原菌を洗い流すだけでなく、のどを潤すためのものです。
鼻やのどは、粘膜で覆うことで侵入した病原菌が繁殖することを防いでおり、潤いが保てなくなると、粘膜による防御ができなくなり、病原菌が侵入しそのまま付着して繁殖してしまいます。そのため、うがいをすることで洗い流すと同時に、粘膜の潤いを保つことが大事になるわけです。
のどの風邪は、乾燥からくるものですから、とにかく潤いを保つことが大切。また、のどが痛くなってからは、新陳代謝を促すために、しょうがなどの血流が良くなるものを食べたり、お腹を温めるものを取りましょう。冬は体を冷やさない、乾燥させないことが第一です。
私自身の予防法は、のどを乾燥させないように飴をなめること。また、加湿器を使って湿度を保つように気を付けています。
食後に行っているのが、15~30分程度の足踏み運動です。有酸素運動は代謝を高めてくれますから、日々の生活にぜひ取り入れたいところ。普段から30分ほど早歩きするのも良いでしょうし、大きな声で歌う、ゴルフをするなど、趣味につなげるのもよさそうです。