特集
2017/12/18
キレイな姿勢を保ちながら華麗に舞うプロのバレエダンサー。一見すると、一般人には縁遠い世界に思われがちですが、厳しいトレーニングを続けるプロたちのレッスンの中には、私たちが普段の生活で実践できるものも少なくありません。そこで今回は、三重県四日市市でバレエ教室を主宰する石井亨先生に、美しさを保つための秘訣をお聞きしました。あなたもバレエダンサーのようなスタイルを手にできるかもしれません!
クラシックバレエ指導の専門家
石井 亨
プロとして第一線で活躍するバレエダンサーたちは、美しいダンスを長く持続させるためとりわけ体の柔軟性と姿勢を大切にしています。
見た目の優雅さとは裏腹に、想像以上にハードなのがバレエです。そのため、ダンサーは日頃からケガをしないように気を付けています。なかでも、筋肉と股関節が柔らかい人はケガをしにくいため、柔軟な体を作ることを第一に考えているのです。
また、テーピングなどでケガを予防し、ダンスを終えた後には、体を入念にマッサージしたり、鍼治療するなど、アフターケアを怠らないことも大切です。こうしたケアをおろそかにすると、トレーニングを積んだプロのダンサーでも、腰痛などを発症したり、肉離れを起こしてしまうことがあります。
最近では、バレエでもインナーマッスルが大事だと言われるようになりました。そこで、体幹を鍛えるトレーニングを取り入れているダンサーが増えています。体幹がしっかりしていると、体のバランスが良くなり、ひいては姿勢もキレイに見えるようになります。
プロのバレエダンサーと言われても、一般の方にはあまり馴染みがない存在かも知れません。ただ、ダンサーが日々心掛けていることの中には、普段の生活にも役立つことがとても多いのです。
バレエダンサーは、あごや首が前に出るのを嫌うため、首の後ろをまっすぐにするように常に気を付けています。こうして普段から姿勢を良くしてレッスンを受けているため、椅子に座ったとき、背もたれにだらしなくもたれかかることなく、ピンとした姿勢をしている人が多いです。首の後ろを意識して良い姿勢を保てば、誰でも座った時の姿が美しくなるはずです。
意外に思われるかもしれませんが、腹筋を鍛えることは、姿勢の良さにはほとんど関係ありません。プロのダンサーでも腹筋がほとんど出来ない人もいるくらいです。それよりも意識したいのが、ひざの後ろや背中を伸ばすこと。特に女性は、ひざの後ろが伸びていれば、ハイヒールを履いてもキレイに見えます。
次に、お家で簡単に実践できるバレエダンサーの柔軟体操をご紹介しましょう。まずはイスを使った体操です。
はじめにイスに片方の足をかけます。そして少しずつ体を前に倒していき、ひざの裏やももの裏などを伸ばしていきます。できれば、つま先を起こすとより効き目が大きくなります。最初は低いイスからはじめた方が良いでしょう。引っ張られている感覚を感じながら、1日4~5回ほど行うだけでOKです。朝は身体が硬くなっていますから、いきなりやるのではなく、徐々にならしながら伸ばしていくようにしましょう。
もう一つ、ダイニングテーブルを使った柔軟体操もぜひ実践してみてください。
まずダイニングテーブルに両手をつきます。そして、背中が床と平行にまっすぐになるように伸ばします。すると、肩甲骨のあたりが引っ張られて気持ちが良くなります、こうすることで体が柔らかくなりますし、つらい肩こりも軽減するはずです。こちらは1日2~3回程度を目安に試してみてください。
バレエというと、子どもの頃に始めるイメージをお持ちの方も多いと思いますが、実は40歳を過ぎてから始める方も結構います。大人になってからでも十分始められるのです。
現在、私が主宰するバレエ教室に通っている方の最年長は60代。いつも元気に通われていて、姿勢も美しいです。なかには、お孫さんと一緒にスクールに通っている方など、年齢を問わず、誰でも長く続けていけるのがバレエです。
ただ、姿勢を良くしたいという理由でバレエを習っても、長続きするわけではありません。歳を重ねてからバレエを始める場合、最初の3カ月は苦労することが多いでしょう。それでも、続けているうちに徐々に動きに慣れてきます。本人の頑張り次第で、体も柔らかく、よい姿勢を取り戻すことも十分可能です。
バレエのレッスンでは、鏡を見ながら「どの角度がキレイに見えるか」を確認しながら練習を進めていくため、普段から背中をまっすぐ保ち、首の後ろを伸ばすことに体が馴染んでいきます。単に「スタイルを良くしたい」という目的ではなく、楽しみながらバレエのレッスンに取り組むことが、いいスタイルを保つ秘訣だと言えるかもしれません。