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意外と知らないことばかり!? 正しいお墓の建て方、墓石の値段や選び方とは?

2018/01/01

故人に対する感謝の気持ちを示すものとして、太古の昔から建てられてきた「お墓」。なかには将来、自分が亡くなった時のために生前から墓石を準備する人などもいますが、その一方で、墓石の「建て方」「選び方」について正しい知識をお持ちの方は、実はかなり少数派ではないでしょうか? そこで今回は、「墓石を建てるにはいくら必要か?」「どんな業者を選べばいいのか?」など、お墓にまつわる疑問についてお伝えします。

中日教えてナビ編集部

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お墓を作る意味は、ご遺族が喪失感や悲しみを癒し、心の区切りを付け「前向きな普段の生活を取り戻す」こと

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お墓に求めるものは、時代と共に変化しています。かつては故人や先祖に対する感謝の気持ちを形に表すことが主でした。現在では、故人や先祖への供養はもちろんなのですが、子どもや孫など、「残された家族のためのもの」子孫への思いや自分の都合を主としたものへと変化しています。
お墓を作る意味は、悲しみや喪失感を癒し、「前向きな普段の生活を取り戻すこと」にあります。「墓石を建て」「納骨し」「故人を供養する」ことによって、「亡くなった人にできるだけのことをすることが出来た。」という気持ちになれます。そして、建てた墓石に墓参りすることで、大切な家族を亡くした悲しみや喪失感が癒やされるのです。
最近遺族に代わって寺院や霊園が遺骨を合葬して管理・供養する「永代供養」が流行っているような報道が多くなされています。機械式の納骨堂が画期的な新しいお墓であるかのように報道されてもいます。それらは現代の生活に合った便利で都合が良い供養の方法の様にも思えますが、供養と単なるお骨の始末とは根本的に異なります。諸々の事情により永代供養も選択肢の一つではありますが、それらを選択なされるには、事前に親族とよくご相談されることをお勧めします。利便性のみに惑わされ、安易に選んでしまった結果、親族と揉めたりするケースも少なくないからです。こうした相談は、今は寺院との関係が希薄になっている場合も多く、相談しにくい傾向にあります。

良い業者の基準はきちんとした知識があること。的確なアドバイスをしてくれる業者を選ぶのがベスト。

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墓石屋さんを選ぶ時のポイントは、きちんとした知識を持った業者であるかどうか。お墓は代々引き継いでいくものですから、まずは代々続いている墓石屋さんにご相談されることをお勧めします。地域により異なる習慣を持つ先祖供養。お墓作りには、その地域でお墓作りのお世話をし、多くの経験を受け継ぎ家業としてきた墓石屋さんでなければ知らないこと、地域独特の風習など沢山あります。まずは老舗と呼ばれる墓石屋さんに相談してみて下さい。話を聞き、疑問に対してきちんと具体的に答えてくれるかがチェックポイント。お墓作りの第一歩は信頼できる業者選びです。
お勧めする石材の種類や金額は、墓石屋さんによってそれぞれ違うため、複数の業者に見積りを依頼することも必要です。ただ、単純に金額だけで比較することのできないのがお墓作りです。単なる総工費(値段)で判断するのではなく、製品代金の明細はもとより、字彫などの加工費や、工事費等の経費についても、何にどれだけの費用をかけているのかを比較検討することが大切です。お客さんのニーズにどれだけ応えようとしているのか見極めましょう。
また、お墓を作った後、自分達が心安らぐだけでなく、親族の人達から感謝され、それが癒やしに繋がることもあります。故人の出身地の供養の習慣や納骨方法を考慮した形状の墓石を建てること。こうしたことも理解した上で、長く付き合っていける墓石屋さんを選びましょう。

墓石の相場は地域に寄って異なりますが、一つの目安は100万円前後。極端に安価な石材は避けた方が無難。

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お墓を建てようとする時、気になるのが費用です。墓石を建てるための費用には「石代」「字彫代」「工事費」などがあり、合計100万円~150万円前後と言われています。これに加えてお墓作りには「土地代」が必要です。ご予算は自分の生活レベルを基準に考え、周囲と同じくらいだと思うなら、その地域で最も多く建てられているお墓と同程度の大きさ・形に合わせた墓石を複数の業者に相談して見積りを取り、予算を決めるのが良いでしょう。
墓石屋さんのなかには、お客さんが所有している墓地に墓石だけを販売する業者がある一方で、自社所有の霊園や提携している寺院墓地の販売をしている業者があり、まずは土地を分譲し、そこに建てる墓石を販売するというスタイルの業者が有ります。
墓石に使用する石材の値段は、人気があるものは高くなります。墓石の石色が変色したり筋や斑が発生すると、お客様からのクレームに繋がる為、墓石屋さんでは変色しない石を好んでお客様にお勧めします。そのため、こうした石材は需要が多く鉱山の規模にもよりますが供給が追い付かない等の理由から値段が高くなりがちです。逆を言えば安価な石材は数年で劣化が進み、石色が変色したり筋・斑が発生しやすいから安価なのだとも言えます。また、地域に根付いた墓石屋さんが好んで売るのは、その土地に合った石であることが多いので、地域に根差した墓石屋さんに相談してみるのも良いでしょう。

山の上などにお墓があり、将来通えなくなる場合には、引っ越しを検討しよう

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最近増えているのが、「お墓の引っ越し」です。引っ越しには役所への手続きなどが必要になるものの、届け出さえきちんと行えば、基本的に自由に行うことができます。

引っ越しに際しては、まず移転先となる墓地を決め、霊園から受入証明書もしくは権利書(永代使用承諾証)をもらいます。そして、お骨の所在地である役所で改葬許可申請書を受け取ります。この時、受入証明書もしくは権利書と印鑑が必要となるので、必ず持参するようにしましょう。こうして受け取った改葬許可申請書に、埋葬先の寺院の住職や霊園の管理者の認め印をもらえば、役所で改葬許可証を受け取ることが可能です。この改葬許可証に加え、印鑑、権利書を霊園に持参すれば、埋葬の手続きが完了します。

なお、思い入れがある墓石であれば、墓石屋さんに依頼して墓石ごと移動させることも可能です。なお、お墓を引っ越す際には、「移動すると何か家族に災いが起こるのではないか」と心配される方もいらっしゃるようですが、そんなことはありませんのでご安心下さい。

山村の集落などでは、山の上などにお墓が建てられていることがあります。こうした場合、これから先、お墓参りに行くのが困難に成ってしまうことが少なくありません。できればそうなる前に、山の上から里へとお墓を引っ越しておくべきでしょう。

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