特集
2018/01/22
通常、がんは年齢が高まるとともに増えていきますが、これとは異なり、30代から増え始めるのが乳がんです。40歳代後半から50歳代前半でピークを迎え、20代の若さで患う人も珍しくありません。乳がんは、若いうちから関心を持ち、検診によって早期発見することが重要です。そこで今回は、早期発見に欠かせない乳がん検診について、クリニックで乳腺外科外来を開設している大西勝也先生にお聞きしました。
心臓病治療のプロフェッショナル
大西 勝也
「乳がん検診」としてマンモグラフィをお勧めするのは、「乳がんになりやすい年代」の方です。乳がんを患う人は30歳ころから増え始めますので、それより若い方に検診として受けていただくのは、あまり意味がないという考え方は確かにあります。
また、マンモグラフィにおいては、病変が隠れてしまいやすい「高濃度乳房」が話題となっています。乳房の構成(マンモグラフィでどの程度乳腺が白く見えるか)において、とりわけ若い女性には「高濃度乳房」が多く、正常乳腺の影に隠れて病変が見えにくいことがあるのです。そのため、30歳代までの女性が検診を受ける際には、マンモグラフィよりエコーを勧められることが多いです。
しかし、同じ年齢であっても乳房の構成には個人差があります。また、高濃度乳房であっても、「石灰化」のようにマンモグラフィでとらえやすい病変もありますので、決して無意味ではありません。
検診を受けるときには、診察や検査によって不利益を被らないようにすることが重要です。とりわけ妊娠中の方が検査を受ける際には、くれぐれも注意するようにしましょう。
マンモグラフィ検診は、X線検査であり、胎児も被爆を受ける可能性があります。マンモグラフィ検査のX線量は十分に小さく、胎児に影響を及ぼす量ではないと考えられますが、妊娠中の不必要なX線撮影はしないほうがよいでしょう。
超音波検査であれば、被曝がありませんから、妊娠中でも検査可能です。ただし、妊娠・授乳期の乳腺は変化が著しいことから、病気を見つけるのが難しく、乳がんの発見が遅れやすいと言われています。乳房に何か気になる症状がある場合は、検診よりも専門機関での精密検査をお勧めします。
残念ながら、乳がん検診を受けてもがんが見つからないことはあります。いくらこまめに検診を受けても、乳がんのすべてが発見できるわけではないのです。
特に最近、マンモグラフィ検診における「高濃度乳房」が問題となっています。高濃度乳房はマンモグラフィで病変が隠れてしまいやすい乳房で、若い女性に多いと言われています。ただ、超音波検査を併用することで、マンモグラフィで隠れてしまいやすい病変でも見つかりやすくなります。
また、頻度としては少ないですが、検診のときには異常がなかったにも関わらず、がんの進行がとても早く、次の検診を受けるまでに「しこり」などの症状として出現することもあります。
乳がんは決して女性だけの病気ではありません。男性でも乳がんとなることがあります。乳がん患者の総数を調べてみると、約1%は男性と言われています。
現在、女性では、11人に1人が乳がんに罹患すると言われています。女性に比べると、決して頻度は高くありませんが、男性も乳がんにならないわけではありません。
症状として、乳頭部のしこりや、乳頭の変形、血性分泌物などを訴え、来院される方が多いです。気になる場合は、検診よりも専門機関への受診をお勧めします。