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2018/01/29
家は「一生に一度の買い物」と言われますが、そんな家の購入と同じぐらい大きな決断となるのが、「家を売ること」です。人生において、「家を売る」という経験をする機会はあまりないでしょう。そのため、様々な事情で家を手放すとなった場合、どうすればいいのか分からず、困ってしまう方も少なくないはずです。では、自宅を売却する時、少しでも良い条件で売るためにはどうすればいいでしょうか。そこで今回は、家を売るときに損をしない方法を、不動産コンサルタントの青山弘幸氏に教えていただきました。
家を売る方法には、大きく2つあります。「仲介で売る方法」と「不動産会社に買い取ってもらう方法」です。まずはどちらかの方法を選んだうえで、いくらで売れるのかを不動産会社に相談し、それによって販売するかどうかを判断するのが一般的な流れになります。
仲介で売る場合には、不動産会社が仲介人となり、市場に出して広く買い手を探すことになります。元々の物件の状態が良い場合には、不動産会社の買い取りに比べて高値で売却できるケースが多いです。
一方、不動産会社に買い取ってもらう方法は、いわゆる「下取り方式」というもので、そのままの状態で不動産会社に売却し、その会社がリフォームなどを施した上で販売します。クルマを中古車販売会社に下取りに出すようなイメージに近いでしょうか。リフォーム費用がかかる場合や、大がかりな解体作業が必要となる場合には、この方法を選択する方がリスクを少なくできます。
では、売買を仲介してもらう不動産会社は、どのように見つければいいでしょうか。信頼できる仲介業者を見つけるには、少なくとも数社に話を聞いてみることをお勧めします。何人かと面談して自分に合う担当者を選ぶことが、いい条件で売却するための近道になるでしょう。大事なのは、会社よりも担当者とのフィーリングが合うかどうかです。
例えば、自分と年齢がかけ離れた営業マンですと、話がかみ合わなくて困ることも考えられます。一概に年齢だけで判断することはできませんが、自分の年齢に近いかどうか、同じような価値観を持っているかどうかを基準に選ぶのがよいでしょう。会社のネームバリューだけで全てを判断しないのが賢明です。
なかには、不動産仲介業者を使わずに家を売ろうとお考えの方もいるでしょう。確かに、うまくいけば仲介マージンをカットできる利点がありますが、私の経験上、契約後のトラブルの種にもなりかねませんし、できれは避けた方がいいと思います。
おそらく、口コミなどを利用すれば買い手は見つけられると思います。ただ、問題となるのが「融資」です。買い手が融資を使う場合、正式な売買契約書や重要事項説明書といった書類を作成する必要があり、これをすべて個人で準備するのは、専門的な知識がなければ相当難しいはず。特に融資を組む場合には、個人間の販売は避けるのが無難です。
仲介業者に依頼する際、実際に自分の家がどれくらいの相場なのか気になる方も多いでしょう。おおよその相場を事前に知りたい方は、買い手が利用する不動産情報サイトを活用してみてください。「駅から○分」「敷地面積」「築年数」など、自分の家の情報を打ち込んで検索をかければ、自分の家に近い条件の家が出てきて、どれぐらいで販売されているのかが分かります。
また、家を売る前にリフォームをしておけば、高値で売却できるとお考えの方は多いと思いますが、これは大きな間違い。実は値段に直結しないケースが大半なのです。
確かに、事前にリフォームを行えば、買い主からの印象が良くなり、売りやすくなることはあるでしょう。ただし、気を付けないといけないのは、100万円以上の高額な費用がかかる場合です。リフォームしたにも関わらず、それが買い主の好みに合わない場合も考えられるからです。せっかく売り主がクロスを全て張り替えたのに、結局、気に入らずにフルリノベーションをするということも珍しくないのです。
その点、買い取りの場合には、事前の修繕は不動産会社が行います。かなり大規模なリフォームが必要な物件でも、買い取ってもらえば手数料・リフォーム代は要りません。多額の費用をかけたにも関わらず、思っていたほど高く売れなかったというリスクを事前に回避できるわけです。
仲介で売る場合、売る前に買い主側から「○○を直して欲しい」と言われることがあっても、仲介業者の方から「買い主の負担になります」と誘導してくれるはずです。また、売り主に対して過剰な負担がかからないように、修復義務の期間なども短めに設定されています。
例えば、使えるはずの設備が使えなかった場合は、引渡し後1週間以内は、売り主に対して修復の要求できるのが一般的です。また、雨漏り・シロアリなどについても、3カ月以内であれば、売り主に請求ができるという契約になっていることが多いです。ちなみに不動産業者が買い取って売る場合には、2年間の修復義務が発生することになります。
いくら修繕義務の期間が短いからといって、売却後のトラブルはできる限り避けたいところ。こうした事態を未然に防ぐためにも、売り主は、買い主や不動産会社に物件の不具合をきちんと伝え、くれぐれも納得したうえで購入してもらうようにしましょう。