特集
2018/02/13
2012年4月から開始された固定価格買取制度や、自然エネルギーへの関心の高まりから、日本でも一気に普及が進んだ太陽光発電システム。ただ、最近では売電価格が年々下落しており、「本当にお得なのか?」と疑問に感じている方も少なくないはずです。これから太陽光発電を導入してもメリットはあるのか。そもそもデメリットはないのか。そんな太陽光発電に関する疑問を、株式会社ソレアの浮嶋昌久さんにお聞きしました。
太陽光を導入するにあたり、最初に気になるのは初期のシステム設置費用だと思います。「相場がどれくらいなのかを知りたい」という方も多いのではないでしょうか。
個人のお客様ですと、「やはり国内メーカーの方が安心」という方が多いのですが、パナソニックや東芝、シャープ、三菱といった日本メーカーの場合、金額は1キロワットあたり35万円前後が相場です。一方、海外メーカーの場合ですと、1キロワットあたり28万円前後。アメリカや中国、韓国などの安価な製品が販売されています。なお、自治体によっては太陽光発電に補助金が設けられていて、およそ5~10%を補助してもらえるケースもあります。
一般の住宅で主に導入される10キロワット未満の場合だと、売電収入だけで元を取るのは難しく、売電収入と電気削減効果を合わせたメリットで考える必要があります。
一般的には10~13年ほどで元が取れると言われています。まずは自分の家の条件で発電のシミュレーションをしてみることをお勧めします。メーカーや設置する向き、角度、地域などで発電効率は大きく変わるからです。家の形などを考慮し、複数のシミュレーションの中から、よりたくさんの容量を稼げるものを選ぶべきでしょう。
屋根の形状によって、太陽光の設置が向いていない家があります。やはり北に勾配が付いている片流れの家などはあまり良くありません。南に向いている面積が大きければ大きいほど、太陽光発電に向いている家だといえます。形状によっては、追加工事が必要となる場合があり、初期の設置費用が高額になるケースもあるので注意が必要です。
雪が積もる地域でも、太陽光発電を設置することは可能です。ただし、パネルに雪が積もってしまうと発電量は落ちてしまいます。また、積雪時の雪の重量に耐えられる強度を持ったパネルを選ぶことも重要です。
一時的に雨が続いたとしても、それほど影響はありません。曇りの日でも少量ですが発電します。年間を通じた発電量は、毎年ほとんど変わりません。これまで蓄積された日照データを元にあらかじめシミュレーションしますので、予測から大幅にずれることはほとんどないのです。
設置後の太陽光パネルは、基本的にメンテナンスフリーです。特に手間がかかるようなことはなく、パネルに付着した汚れは雨が洗い流してくれます。落ち葉がたまってしまうといったことがなければ、特に掃除する必要もありません。
一方、発電した電気を変換するパワーコンディショナーは10~15年程度でメンテナンスが必要です。ほとんどのメーカーで15年程度の保証が付いていますから、その期間内でしたら特に心配する必要はありません。
震災などの自然災害が起きた時の保証を心配される方も多いですが、10~15年程度の自然災害補償制度がありますし、火災保険に追加する形で保険を掛けておくこともできます。気になる方はこちらもあらかじめ確認しておきましょう。
太陽光発電のデメリットは、単体では電気を貯めておけないこと。ただ、この弱点を補うのが蓄電池です。蓄電池を設置しておけば、災害時などのために電気を貯めておくことが可能です。災害で長時間の停電が発生したとしても、蓄電池を設置しておけば、照明や冷蔵庫ぐらいであれば、3日間ほどは問題なく使うことができます。
このため、ここ2年ぐらいは、蓄電池を設置する人が増えており、今では最初から蓄電池がセットになっているのがほとんど。現在、設置されていない住宅についても、電力の固定買取期間が10年を経過すると終了しますので、その後に蓄電池を設置する形になります。蓄電池の金額は容量によって異なり、120~250万円程度になりますが、普及に伴い安くなると思います。
なかには環境や災害のことを意識して設置する人もいますが、やはり経済的なメリットに魅力を感じて設置する人がほとんどです。容量が大きいほど初期費用は高くなりますが、その分の元を取るのには、それほど時間はかからないはずです。長い目で考えれば、将来にわたり電力会社からずっと買い続けるよりもメリットは大きいと思います。