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知らないうちに加害者になる危険性アリ!職場で起こる<セクハラ&パワハラ>

2018/05/01

近頃、セクハラやパワハラなどのハラスメントに関する話題が世間を騒がせることが多くなってきました。ただ、世界の潮流に比べると、日本はまだまだハラスメントに関する理解が遅れていると言わざるをえない状況です。セクハラやパワハラといった言葉は耳にしていても、どんな行為が該当するのかを正確に把握している方は少ないのではないでしょうか。そこで今回は、社労士の田中克己さんに、どんな行為がハラスメントに当たるのか、どういう点に気を付けるべきなのかを詳しくお聞きしてみました。もしかしたら、あなた自身も、ハラスメントに該当する行為をしているかもしれませんよ。

田中 克己

企業の経営をトータルサポートします。

田中 克己

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相手が「パワハラ」「セクハラ」と感じた時点で、基本的にすべてアウト!

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セクハラの場合、受け手となる側が「これはセクハラだ」と感じた行為は、基本的にすべてセクハラに該当します。同じ行為でも、受け手が「これは受け流せる」と感じるのか、それとも「ハラスメントだ」と感じるのか。これは普段の人間関係によって大きく異なってきます。あくまで受け手の主観であるという点がポイントです。

例えば、セクハラでは、「いやらしい目で見られた」と相手が感じただけで、セクハラが成立する可能性が高いです。パワハラについても同様で、新入社員が上司に怒られ、「怖い」と感じた場合、それだけでパワハラが成立することも十分考えられます。

このほかにも、歓送迎会で、自分の両隣の席に女性を指定して座らせる行為はセクハラに該当します。また、採用面接の時、「結婚後の勤務はどう考えているのか」「子どもが出来たら辞めるつもりか」などの質問もNG。ハローワークでは、求職者がどんな質問をされたのかをチェックしています。同じような行為が3回続いた場合には、ブラック企業として扱われる可能性が高いので要注意です。

性的な話題や、支持政党などの政治的な話題も御法度です。会社の飲み会に参加できない社員に対し、「なんで来れないんだ?」と問い詰めたり、「絶対に来い!」と無理矢理連れて行ったりすれば、間違いなくパワハラとなります。

ハラスメントを防ぐには、普段から良好なコミュニケーションを取ることが大事

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ハラスメントを未然に防止するには、何よりもコミュニケーションを取ることが大事です。ハラスメントの多くは、職場のコミュニケーション不足が原因。普段から良好な人間関係を築いていれば、お互いに気持ちを理解することができ、トラブルに発展するケースは少ないはずです。

例えば、飲み会などに誘っても、遠慮なく断れるような人間関係を作っておくべきです。また、職場で部下を指揮する立場にある人は、みんなに同じような言い方をするのではなく、一人ひとりの社員がどんな人なのかをきちんと理解した上で指導することが重要です。

ただ、最近の職場は、仕事の後にお酒を飲みながら話をしようとしても、飲みに誘うこと自体がハラスメントになりかねないなど、どうしても社員間のコミュニケーションが希薄になりがちです。

最近では、部下を指導する時、就業規則を横に置き、項目に沿って叱ったり、指導したりする会社が多くなっています。規則に沿って叱るのであれば、それは業務指導にあたると解釈されるからです。そのため、就業規則から必要な項目を抜粋し、トラブルを避けるためのルールブックを作成している会社も出てきています。

被害にあった場合は社内の相談窓口へ。公的機関での弁護士の無料相談などもオススメ

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自分がハラスメントを受けたと感じた場合には、まず社内の相談窓口に行きましょう。ハラスメントに関する相談窓口は、大企業はもちろん、小さな事業所であっても法律で設置が義務づけられています。相談を受けた会社側はその内容をきちんと聞き、他の人に絶対に漏れないようにしなければならないと定められています。

うつ病などを発症しないと訴えることはできないと思われがちですが、そんなことはありません。嫌なことがあったら自分で抱え込まないことが大事です。まずは会社の相談窓口で相談することや、公的な機関で定期的に行われている弁護士の無料相談などを利用してみるのもお勧めです。

悪質なハラスメントを裁判所に訴える場合には、嫌な思いをした内容を具体的に記録しておく必要があります。証拠があれば良いですが、必ずしも音声などが残っているわけではないでしょうから、「いつ・どんなことがあったのか」などをできる限り正確に記録しておくようにしましょう。

ハラスメントで訴えた場合の慰謝料の最近の相場は、セクハラで600万円ほど。ハラスメントを行った人と、管理責任のある会社の双方へ慰謝料を請求することができます。パワハラの場合は800万円ほどになるようです。上司(管理職)から部下に向けた行為であることが大半であり、セクハラより責任が重いと認定されるケースが多く、その分慰謝料の金額も高くなっています。

自分が訴えられて退職を促された場合、解雇に対して不当だと訴えることも可能

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自分が思わぬハラスメントで訴えられた場合、必ずしも会社を辞めなければいけないという法律はありません。

セクハラやパワハラなどの訴訟においては、裁判所は判決が確定する前に、原告・被告の双方に和解勧告を出し、和解による決着を促すことが多いです。この和解の条件として、ハラスメントを行った人を会社が辞めさせる前提で、慰謝料の金額が提示されることがあります。この場合、和解案を受け入れるのであれば、会社を辞めることになります。いずれにせよ、ハラスメントで訴えられた場合、そのまま会社に居続けたとしても以前と同様に仕事を継続するのは難しく、結果的に辞めざるをえなくなるケースがほとんどです。
それでも「納得がいかない」「会社に残り続けたい」という場合には、会社側の解雇に対して「不当解雇である」と訴えることも可能です。裁判所に今の社員の地位を保全する仮処分申請を出せば、ほとんどの場合は認められます。
結論が出るまでに要する期間は7~8ヵ月ほど。長いと1年以上かかる場合もあります。その間の地位は保全され、給与は毎月支給されます。結果的に不当解雇ではないという判断が下されたとしても、その期間中に支給された給与は返還する必要はありません。

ともあれ、無用なトラブルに巻き込まれないのが一番です。まずは周囲と良好な人間関係が構築できるようにしっかりコミュニケーションを取ることを心掛けましょう。

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