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あなたの体調不良は「歯」が原因かも? 元気な身体を保つために欠かせない「歯の健康」

2018/06/04

私たちは普段、何気なく食べ物を口にしたり、おしゃべりを楽しんだりしていますが、こうした社会生活を営むうえで欠かせないのが「歯」です。歯並びが悪かったり、歯を失ってかみ合わせが悪くなったりすると、肩こりや腰痛、偏頭痛などを引き起こす原因になります。また、最近の研究では、良く噛むことが脳の発育やガンの予防などに影響を与えることが分かってきました。私たちが考えている以上に、身体と歯の健康には密接な関係があるようです。そこで今回は、大山矯正歯科の大山照彦先生に、身体の健康と歯の健康について詳しくお聞きしました。

大山 照彦

痛くない 早い 見えない 矯正治療を

大山 照彦

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歯並びが悪いと虫歯になりやすいだけでなく、肩こりなどさまざまな体の不調の原因に!

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私たち人間の生命活動は、「食べること」と「コミュニケーションを取ること」によって支えられています。そして、この「食べる」「コミュニケーションを取る」という行為を行うために欠かせない器官が「歯」です。人間は、歯があることによって社会を形成し、生命を維持しています。「歯」は人間にとってなくてはならない大切な器官なのです。

歯並びが悪いと、発音・発語が悪くなり、コミュニケーションを取るのが難しくなります。また、虫歯や歯槽膿漏に罹患しやすくなり、歯を失うことにも繋がります。歯を失うと、その隙間にほかの歯が移動してきてしまい、かみ合わせが悪くなります。かみ合わせが悪くなれば、体のさまざまな部位に悪影響を及ぼすことになります、例えば、顎関節症、肩こり、首こり、腰痛、偏頭痛などの疾患の原因になることもあるのです。歯の本数が少なくなるほど、こうした疾患は強く現れるようになります。

このように歯並びが悪く、歯の本数が少なくなると、健康寿命を短くし、QOL(クオリティ・オブ・ライフ)の低下を招くことなります。また、最近の研究では、認知症にかかりやすくなるという結果も報告されています。

間食は時間や回数を決めて、食後の歯磨きを習慣づけるべき。

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歯を健康に保つためには、「ホームケア」と「プロフェッショナルケア」の両方が大切になります。ホームケアとは、いわゆるご自身で行う歯磨きのこと。ここで一番注意したいのがブラッシングです。ブラッシングは、ただ単に磨けばよいというものではありません。頑張って磨いていたとしても、磨きにくい部分はキレイになっていないということも少なくありません。そこでお勧めしたいのが、スウェーデン式の歯磨き方法です。通常の歯ブラシとワンタフト歯ブラシの2本を使い、リスク部位のプラーク(歯垢)をきちんと除去するようにしましょう。

ホームケアでもう一つ重要なポイントが、食事指導です。食事・間食を取ると、口の中は酸性に傾きます。そのため、間食の回数が多いと、お口の中がずっと酸性に傾いたままになり、虫歯になりやすい状態が長引くことになります。そのため、食事・間食は、食べる時間・回数を決め、絶え間なく食事を取ることがないように気を付けることが大事です。
そして食後は、必ず歯を磨くという習慣を作ることが大事です。

ただ、ホームケアだけでは、取り切れないプラーク(不溶性グルカン)がありますし、自分では気付かないうちに虫歯や歯槽膿漏が進んでいる場合もあります。そのため、お口のケアを専門に行う歯医者さんを定期的に受診し、プロフェッショナルケアを受けるのがお勧めです。

食べ物をよく噛むことで、消化器官の負担を減らし、脳の発達やガン予防にも効果が!

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食べ物は良く噛むことで細かく粉砕されます。そして、唾液がたくさん出てきます。これが、食べ物の消化の一番の手助けになります。

最近のお子さんたちを見ていると、数回噛んだ後、お水やお茶などで食べ物を流し込むような食事の取り方をするケースが多く見られます。これでは、消化器官に大きな負担が掛かってしまいます。また、顎の発育が悪くなり、歯並びが悪くなる原因にもなりかねません。

最近の研究では、良く噛むことは、脳の発達、味覚の発達、ガンの予防、歯の病気(歯周病など)の防止、胃腸の働きを促進させるなど、さまざまな効果があることが報告されています。

人は柔らかい食べ物ばかりを食べていると、噛むことをしません。そのため、これまで挙げてきた噛むことによって得られる良い効果と逆のことが起こってしまいます。食事の際は、とにかく良く噛むことが、とても大切だということがお分かりいただけたでしょうか。

歯茎の健康は色で判断。紫や黒に変色していたら、歯周病の疑いが強いので早期に受診を。

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歯茎の健康状態は、色を見ることで判断できます。歯茎が健康なときには、きれいなピンク色をしていて、腫れることはありません。赤くなり、腫れているようでしたら、歯肉炎の疑いがあります。また、紫や黒に変色している場合には、歯周病や過度の喫煙が疑われます。

歯肉炎や歯周病などの歯茎の病気は、歯磨きがうまくできいないこと、歯並びが悪いことなどが原因となります。そのまま放置しておくと、歯茎の状態はどんどんと悪化し、最終的には歯が抜けてしまう可能性もあります。早めに歯科医院を受診し、適切な検診・治療を受けることが肝心です。

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