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空き家が増えているのはナゼ?意外と知らない空き家の最新事情

2018/07/09

日本全国で空き家が増えています。5年ごとに発表される総務省統計局の住宅・土地統計調査によれば、平成25年の段階で空き家数は820万戸。全国の住宅の13.5%を占めています。今後もその数は急増することが予想され、空き家対策はまさしく喫緊の課題です。実際、両親が住んでいた実家が空き家となり、その後の対応に困っている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、不動産コンサルタントの青山弘幸さんに、意外と知らない空き家最新事情についてお聞きしてきました。

青山 弘幸

不動産売買一筋30年

青山 弘幸

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空き家の主な原因は、所有者不明、所有者の認知症、相続時のトラブル

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全国的に空き家が増えている原因には、さまざまなものがあります。全国的に問題となっているのが、所有者が分からない、所有者が認知症になり契約行為が全くできない、相続人同士が揉めていて遺産分割の話が進まない、といったケースです。

たとえ所有者が認知症になった場合でも、その人が亡くなった時には相続人が契約を引き継ぐことができます。ただし、この場合、相続人同士で揉めることが珍しくありません。また、最近では、空き家の所有者が90歳を超えており、そのお子さんもすでに高齢になっているため、肝心の相続を受ける側もすでに認知症というケースも増えてきています。

仮に、相続人同士が揉めて話が進まなくなり、そのまま相続人たちが亡くなった場合、今度はその子どもたちが相続人になります。こうして相続人が増えてしまうと、全員と連絡を取ることすら難しくなり、話を進めるのがさらに難しくなってしまうのです。

特に東京では、所有者不明、所有者の認知症、相続時のトラブルの空き家が多いといいます。意図的に空き家を放置している人はほとんどおらず、何らかの問題を抱え、解決の糸口を見つけられないままになっていることが大半なのです。

固定資産税を抑えたい、解体の費用が出せないなど、お金が問題となるケースも

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空き家が増える原因の中には、金銭面の問題が絡んでいることもあります。例えば、建物を解体すると土地の固定資産税が高くなるので放置していたり、そもそも建物を解体するお金がない、といったケースです。

ちなみに愛知県では、東京とは違い、相続人が地元にいる場合が多いため、逆に固定資産税などの金銭的な問題が原因になっていることが多いようです。

空き家をそのまま所有した場合と、更地にした場合とでは、固定資産税が最大で6倍ほど違ってきます。また、空き家を解体する費用は、木造家屋で坪2万5000円~4万円ぐらいが相場です。木造や鉄骨などの違いで価格は変動しますが、30坪程度の民家であればおよそ90万円。高齢化が進んだ昨今は、相続を受けた時点で年金受給者といったことも珍しくなく、解体費用を捻出するお金がないことも多いのです。

空き家が増加の一途を辿っていることを受け、2015年5月には「空家法」(空家等対策の推進に関する特別措置法)が完全施行されました。状態の悪い空き家は、その周囲に悪影響を与える可能性が高いので、こうした空き家は「特定空き家」に指定され、解体の通告、指導、そして命令を下すことができます。ただ、すでに建物が倒れかけているなど、よほどのひどい状態でなければ指定されないのが実情です。

空き家の売却で大切なのは、相続人同士で話し合える状況を作っておくこと

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所有している空き家を処分する方法の一つが売却です。この場合、空き家がいくらで売れそうかを査定してもらうことになります。

空き家を売却する場合、きれいに掃除をしたり、不要品を片付けたりしても値段は変わりません。売却金額よりも問題になるのは、遺産分割がクリアになっているかどうか。そのため、親が生きている間に、兄弟などの相続人同士できちんと話し合いができる状態にしておくことが大事です。値段が付いたとしても、相続人同士の話し合いが進まなければ、売却できないからです。

うまく売却できればいいですが、そうはいかないケースもあります。ただ、空き家をそのまま所有しているだけでは意味がありませんから、別の手立てを考えるようにしましょう。例えば、更地にして駐車場にしてみたり、古民家として貸し出したりするなど、できる限り有効活用できる方法を探ってみるべきです。

相続を受けて3年以内であれば、空き家売却時に3000万円の特別控除が使える!

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空き家を売却する場合には、住宅を売却する時に使える「3000万円の特別控除」をぜひ活用したいところです。本来、住んでいた住宅を家主が売却する際に利用できる制度ですが、所有者は生存しているものの、施設に入居して家に戻らないと判断された場合などにも適用でき、3年以内であれば3000万円の特別控除を受けることができるのです。

条件は、その家に住まなくなってから3年以内。所有者が認知症になっている場合には使えません。所有者が亡くなっていても、相続を受けた人が3年以内に売却すれば控除が使えるなど、細かな条件が設けられています。専門家にアドバイスを求めながら、この制度をうまく活用して速やかに空き家を処分するのがお勧めです。

両親が高齢になったら、家族信託などをしておくのも良いでしょう。いずれにしても、親が生きているうちに、亡くなったら家をどうするかを早めに検討し、相続人の間できちんと話し合いをしておくようにしましょう。それが空き家のトラブルを防ぐ最善の策だと思います。

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