特集
2018/08/27
人間と同じようにペットも徐々に歳を取ります。若いうちは元気に走り回り、飼い主と一緒に散歩を楽しんでいた愛犬も、加齢ととも行動が変化していきます。足腰が衰えてきたり、今まで好きだった食べ物を敬遠したり・・・。以前とは違うワンちゃんの行動に戸惑ったり、どうやって接すればいいいのか分からずお悩みの方もいるのではないでしょうか。そこで今回は、ドッグ整体師さんに、高齢犬との暮らしの中で気を付けるべきポイントについてお聞きしてきました。
中日教えてナビ
編集部
一般的にペット業界では、中型・大型犬の場合で7歳以上、小型犬の場合で10歳以上が高齢犬にあたるとされています。実際の肉体年齢でいうと、小型犬では人間の高齢者の部類に入るのは12歳ぐらいから。犬の平均寿命は、40年前は5歳ぐらいとされていましたが、現在では12~15歳ぐらいまで伸びています。
小型犬は、成長が早くて老化がゆっくり進み、成熟期が長いです。逆に大型犬は、成長が遅くて老化が早く、成熟期が短いのが特徴です。大型になればなるほど、基本的に平均寿命は短くなります。
老化が進んだワンちゃんは、疲れるのが早くなります。徐々に遊びや散歩をしたがらなくなり、ゆっくり歩いたり、抱っこをせがんだりすることも。帰宅後はぐったりすることも多くなるでしょう。また、飼い主が呼びかけても反応しなくなったり、日中にも関わらず熟睡してしまう場合もあります。目や耳も悪くなっていきますが、それはかなり老犬になってからです。目や耳が悪くなる前に体の衰えが進んできます。
ワンちゃんの足腰が弱ってきた時には、食べて栄養になるものや、楽しく食べられるフードを与えるようにしましょう。サプリメント入りのフードなどをあげがちですが、それよりもワンちゃんが喜んでくれて、添加物が入り過ぎていないものを選ぶことが大事です。
ちなみにシニア向けのドッグフードは、油分が少なくなっているのが一般的です。これは、老犬の体に機能不全が起こってくると、油分が多く使われているものは体に負担が掛かるからです。
安すぎるフードはやめておくのが無難です。ただ、高いからすべてが安心だとは限りません。成分を見ても分からない場合には、ネットの情報なども参考にしつつ、ワンちゃんが食べて喜ぶもの、飼い主から見てワンちゃんの調子が良さそうだと感じられるものを与えるのが良いです。
それでも迷う時には、獣医師さんやフードセミナーをきちんと受けている店長さんなどに相談したり、メーカーに直接電話をして詳しく聞いてみるのもいいでしょう。
老化が進んできたワンちゃんを散歩させる時には、無理させないようにすることが大事です。例えば、関節や筋肉にゆがみがある状態で無理に歩かせると、疲労が蓄積することで老化を早めたり、足を傷めて歩けなくなってしまうことも考えられます。そのため、ワンちゃんが疲れてしまう手前で帰ってくるのが正解です。
ワンちゃんに気分転換をさせたいなら、無理に歩くのではなく、公園のベンチで座っているだけでも十分。排泄のために散歩させたい場合には、排泄後にすぐ戻ってきても問題ありません。とにかく無理をさせないことが大事です。
足への衝撃を考えると、土の方がいいように感じますが、必ずしもそうとは限りません。芝生の上や公園の土などには、さまざまな菌がいます。免疫力が下がった高齢のワンちゃんの場合、野生動物や野良猫の排泄物などの菌が付着すると、その菌から病気になってしまうこともあります。人間と同じで、ワンちゃんも高齢になると免疫力が低下するので注意が必要です。
お散歩の際に必要なものとして首輪やハーネス(胴輪)がありますが、老化が進み、首や頭に障害が出たり、頚椎ヘルニアなどになった場合は、ハーネスを利用するのがよいでしょう。ただ、ぜいぜいと息をしたり、肩周りが良くないワンちゃんの場合には、そのまま首輪を使い続ける方がいいかもしれません。いつも同じ筋肉に負担を掛けるのはよくありませんから、できれば首輪とハーネスの両方をうまく使い分けるのがいいと思います。
目が悪くなってものが見えづらくなると、ゲージやサークルまでの距離が掴めず、ぶつかってしまうことがあります。こうした行動が見られる時には、ゲージを柔らかい素材に変えたり、クッション材を置くなどの工夫が必要です。また、年を取ってくると体だけでなく心も弱ってきますから、安心できる場所をきちんと作ってあげることも大事です。
ソファや玄関などに段差がある場合、勢いよく飛び乗ろうとしてケガをすることもあります。老齢犬は、体が衰えているにも関わらず、脳は若い時の感覚のままになっていて、考えと行動がアンバランスになりがち。できるだけ段差をなくし、無茶をしないように気を付けてあげましょう。若い時から無理をさせないようにしつけたり、できる限り室内をバリアフリーにすることも考えてあげてください。