特集
2018/09/03
2019年10月の消費税増税まで、あと1年を切ろうとしています。「10%に上がる前に住宅を手にしたい」とそろそろ動き始めている方も多いと思いますが、住宅選びの悩みどころの一つが「木造or鉄骨造」。とはいえ、住宅の専門知識を持っている人でなければ、どちらが良いのかを判断するのは難しいはずです。そこで今回は、森大建地産の森秀樹さんに、木造の家の魅力について、木造のメリット・デメリットについて詳しくお聞きしてみました。
住宅を建てる時に気を付けたいのは、シックハウス症候群です。「頭痛がする」「息が苦しい」など様々な症状が出ますが、その原因は、住宅の高気密化や化学物質を出す内装材・建材の使用により、室内の空気が汚染されるからだと考えられています。刺激臭のあるホルムアルデヒドなどが使われている場合、大きな健康被害を引き起こすこともあります。最近では何らかのアレルギーをお持ちの方も多いですから、こうした方は特に注意が必要でしょう。
アレルギーと言えば、花粉症を思い起こされる人もいらっしゃると思います。「木材を使って大丈夫か?」とお考えの方もいるかもしれませんが、スギやヒノキの花粉が原因となりますので、こちらは問題ありません。あくまで花粉のお話ですから、スギ花粉に悩まされている人が、スギを使った家に住むとクシャミが止まらなくなる・・・といったことはありません。
また、お子さんがアレルギーをお持ちというご家族も多いでしょう。そうでなくても、子どもは化学物質などに敏感なため、住宅の材質を気にされる親御さんも多いと思います。一般的に、木材は健康被害を引き起こさないないものがほとんどです。家族みんなで安心して暮らしたい方には、ぜひ木造の家をお勧めしたいと思います。
鉄骨造の住宅に比べて、「耐震性が低い」「長く持たない」というイメージをお持ちの方もいると思います。ところが、最近の木造住宅は、以前に比べて耐震性・断熱性が上がっており、「寿命は30年」と言われた頃とは違い、長く快適に住めるようになりました。長期優良住宅であれば、その3倍は住み続けられるとも言われています。
ただ、長持ちさせるためには、定期的なメンテナンスが不可欠です。シロアリ対策や外壁の塗り替え、雨もりへの対処など、住宅のメンテナンスをきちんと行っていれば、その分、住宅の寿命は延びていきます。シロアリの場合、新築であれば保証期間が設けられていることが多いので、これを活用して早めに対処してもらうようにしましょう。
また、日頃の換気や掃除も大切です。無垢の素材を使っている場合は、米ぬかなどの自然素材のワックスを上手に使って手入れをするのがおすすめ。年に1回ぐらいはワックスを塗るようにしましょう。ウッドデッキは、元々水に強い素材を使っている場合も多いですが、徐々に保護成分が取れてきますので、ワックスなどでメンテナンスした方が良いです。
木材にはそれぞれ特徴があり、その性質によって使い分けることが必要です。例えば、洗面などの水回りには、硬い材質の木を選ぶのがおすすめ。水に強いオーク材や竹を使うのがいいでしょう。
寝室には、スギやヒノキなどの柔らかい素材が向いています。心地よい木の香りが部屋中に広がり、リラックス効果も発揮してくれます。香りについては、ものによって違いはあるものの、おおむね10年ぐらいは楽しめると思います。木の利点は、換気や湿度調整をしてくれるところです。湿度調整を考えるなら、やはり無垢の木を選ぶのがベスト。鉄骨の家に比べて湿気などをコントロールしやすいのは、木造の大きなメリットです。スギには空気浄化機能もありますから、毎日の快適な睡眠をしっかりサポートしてくれるはずです。
床材に使う木は、スギやパイン材、オークなどを好んで選ぶ方が多いです。木の値段はさまざまで、スギなどの無垢材になると高くなりがちですが、上手に使えばお値打ちに仕上げられることもあります。
快適な暮らしを実現したいという方にとって、木造の家はさまざまなメリットがありますが、そのほかにも、色が変化することに味わいが生まれ、経年変化を楽しめるのも魅力の一つです。また、鉄骨造と比べて、一般的にメンテナンスや増改築がしやすいのも利点でしょう。
もちろん、木造の家にもデメリットはあります。前述した通り、定期的なメンテナンスが必要ですし、既存の古い木造住宅の場合、断熱性能が高くないケースも多く見られます。また、当然ですが、鉄骨とは違って燃えやすいというのもデメリットです。ただ、杉板の表面を焼くことで耐火性を増す「焼杉」を施すなどの工法もあるので、木造の家だからといって必ずしも火に弱いというではありません。
このようにさまざまなメリットがある木造の家。快適な暮らしを実現したいという方は、ぜひ参考にしてもらいたいと思います。