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2018/09/18
秋のお彼岸の時期がやってきました。週末の連休を利用してお墓参りに出かける方も多いのではないでしょうか。ただ、お墓参りの際、どうすればいいのか困りがちなのが「お墓のお手入れ」。墓石の汚れはもちろん、周囲に生えてくる雑草や、玉砂利についた土やホコリが気になるという方もいらっしゃると思います。また、なかには墓石の劣化やひび割れを心配されている方もいるかもしれまん。そこで今回は、「お墓の正しいメンテナンス方法」について紹介します。
中日教えてナビ
編集部
お墓の掃除の仕方は、特に決まった方法があるわけではなく、気づいたらその都度汚れを落としていけば大丈夫です。周りに生える雑草も、お墓参りに訪れる時にこまめに抜いておけば、根をはるようなことはありませんので心配はいらないでしょう。
汚れを落とす時には、スポンジを水で濡らし、石の表面を拭くようにします。また、お花が枯れているようでしたらすぐに捨てます。夏の暑い時期には、お花を供えてもすぐに枯れてしまいますが、そんな時はすぐに下げて持ち帰り、お仏壇にお供えするのがいいと思います。
敷地内の玉砂利は、表面に土やほこりが付いた程度なら、バケツに水を張りそこに玉砂利を入れて洗えばキレイになります。ただ、カビが生えてしまったら取るのは難しいため、新しいものに交換するしかありません。
お墓の周りの草むしりが大変で、除草剤をお使いになる人もいると思います。墓石に悪影響がないかと心配される方もいるようですが、一般的な除草剤であれば、石が変色したりすることはありません。なかには、除草剤を撒いてはいけないという方もおられるようですが、私は特に問題ないと思います。もちろん安全上の注意を守って使うのが基本ですが、それほど危険な薬物ではないですし、体力的に草むしりが難しいのであれば使ってみてもいいでしょう。できるだけ薬剤が石の表面にかからないように注意し、それでも付着してしまったら水で洗い流せば大丈夫です。
徐々に年数を経てくると、墓石も少しずつ劣化していきます。墓石が劣化する一番の原因は「凍てり(いてり)」です。冬の寒い時期になると、石の表面の穴から入り込んだ水が、寒さで凍って膨張することで穴を押し広げます。こうして大きくなった穴にまた水が入り、穴を広げて・・・というのが何度も何度も繰り返されることで、結果的に墓石の表面がボロボロになってしまうのです。墓石の劣化が進むのは、厳しい日差しが照りつける夏場よりも、むしろこれから迎える冬の寒い時期、というわけです。
墓石の表面に無数にある穴に、ほこりやゴミが詰まっていると水が抜け辛くなり、冬場の凍てりに拍車をかけてしまいます。お墓参りに行って簡単で良いので掃除をして、このほこりやゴミを取り除きましょう。
また、墓石表面の目に見えないほど細く薄いキズ(ヘアライン)には注意が必要です。このキズに溜まった水が凍り膨張すると、キズが押し広がり墓石倒壊の原因になります。石材の特性を熟知した技術者であれば、このヘアラインを見落とすことはほとんどありません。きちんとした業者を選ぶことが肝心だと言えるでしょう。
墓石にひび割れなどができてしまった場合、新品同様に戻すことはできませんが、これ以上ひどくなって墓石が倒壊しないよう、キズの中に接着剤を流し込むといった修繕を行うことは可能です。こうしたひび割れの修理にかかる費用は、出張費を含めて3~5万円ぐらいが相場です。
墓石の専門店であれば、戒名の追加彫りを行う際、一緒にお墓の点検を行ってくれることが多いと思います。すでに修理をした部分があるようでしたら、接着面が剥がれていないか、ヘアラインがないか、ネジなどが取れていないかなどを一通り点検したうえで、メンテナンスが必要な状態であれば、同時に修理も行ってくれるはずです。
ただ、最近では墓石に追加の字を彫るだけの専門業者さんができました。こうした業者に依頼した場合は、墓石の状態を判断できるだけの経験や知識が無い場合もありますので、任せて安心とは言えません。
万が一、地震で墓石が倒壊してしまった時に備えて、あらかじめ地震保険に加入しておくこともできます。ただ、震度6強以上の地震でなければ保険金が下りなかったり、土地の問題があって倒壊した場合には支払いが認められなかったりと、細かな条件が設定されている保険商品がほとんど。そのため、すんなりと保険金が下りることはなかなかないと思います。
商品に付加価値を付けようと、墓石とセットで地震保険への加入を勧める業者もあるようですが、保険の支払い条件などをしっかり確認した上で、加入するかどうかを十分検討するようにしましょう。