特集
2018/10/01
サプリメントを飲んだり、運動をしたりと、何かしら体に気遣っているという方は多いと思います。ただ、意外と疎かにしがちなのが「睡眠」です。人間が生活していく中で、寝ることは絶対に欠かせません。近年、「睡眠負債」という言葉が注目されていますが、健康に及ぼす睡眠の影響は計り知れなく大きいのです。そこで今回は、快眠マイスターに、良い睡眠を取る方法についてお聞きしました。あなたもぜひ快眠生活を手に入れましょう!
中日教えてナビ
編集部
良い睡眠を取ることで、「疲労回復」や「生活習慣病の予防」など、様々な効果が期待できます。以下、代表的なものをご紹介します。
【1】 疲労回復
内分泌機能が高まり、代謝活動の促進やストレス耐性が強まります。
【2】生活習慣病予防
十分に睡眠を取ることで、心疾患、脳血管疾患などのリスクを減らせます。
【3】 肥満予防
食欲を司るホルモンは睡眠と密接な関係を持ち、睡眠の確保は太りにくい体質づくりに役立ちます。
【4】ストレスやうつ症状の緩和
睡眠には脳を休ませ、自律神経を整える働きがあります。眠ることで脳内の抗ストレスホルモンが分泌され、ストレスやうつ症状を緩和できます。
【5】美容効果
美容、お肌の再生に必要な成長ホルモンは眠っている間に分泌されます。睡眠不足はこの分泌を妨げる原因になります。
【6】パフォーマンス向上
睡眠は脳内の記憶の整理や体力回復に効果があります。寝ないで勉強したり、運動することはパフォーマンスの低下に直結します。
「寝たのに寝た気がしない」「起きてから4 時間後に眠気がやってくる」「やる気が出なかったりダルかったりする」「イライラや不安が多い」。このような感覚をお持ちの方は、睡眠がしっかり取れていないのが原因かもしれません。もし運転中や会議中などにいきなり寝てしまうような場合は深刻です。ご自身の睡眠環境をいますぐ考え直しましょう。
眠りには「レム睡眠」(脳は起きていて体が眠っている睡眠)と「ノンレム睡眠」(脳も体も眠っている睡眠)の 2 種類があり、それを繰り返しています。寝つくとまずノンレム睡眠が訪れます。最初の 90 分間のノンレム睡眠は、睡眠全体の中で最も深い眠りです。その後に訪れるのが最初のレム睡眠です。まぶたの下で眼球がすばやく動く「急速眼球運動」が見られ、このタイミングで夢を見たりします。
睡眠の質を高めるには「最初のノンレム睡眠 」をいかに深くするかがポイント。最初でつまずいてしまうと、自律神経が乱れたり、ホルモンの分泌にも狂いが生じがち。この「黄金の90分」を深く眠ることが、ベストな睡眠への近道です。睡眠時間は最低でも6 時間以上確保し、「最初の90 分」に深く眠るようにしましょう。
眠りを誘う睡眠誘発ホルモンは、体内の内臓温度である「深部体温」が下がり始める頃に分泌されます。そのため、寝る90分ほど前にお風呂に入って体温を上げ、下がり始めに寝床に入るのが理想です。湯船に浸かる時間がない人は足湯がお勧め。洗面器にお湯を張り、足湯だけでも効果があります。
また、頭を使わない単調な状態は、眠りのスイッチになります。寝る前に読む本は、展開があるものよりも退屈な本を選ぶこと。興味のないテレビ番組をBGM 代わりに流しておくのも良さそうです。寝る前は頭を使わずリラックスできるものを選びましょう。
最適な睡眠時間は個人差があり、年齢によっても変化します。適切な時間を知るためには、朝の時間の制約がない休日に、目覚まし時計をセットしないで自分が何時まで寝ていられるかを試してみましょう。平日と同じ時間帯に起きることができれば、今の生活リズムが最適である証です。逆に、いつもの時間に起きられなかったり、強い眠気を感じるようであれば、睡眠時間を増やす必要があるかもしれません。
朝、すっきり目覚めるためには、自分に適した睡眠時間と毎日の生活リズムを把握することが大事です。また、朝起きた時に太陽の光を浴びることも大切になります。15分ほど光を浴びると、体内時計がリセットされて一日のリズムが動き始めます。交換神経を活発にするために、軽く動いたり、熱めのシャワーを浴びたり、冷たい水で顔を洗うのも一手です。
午後の眠気のピークが来るのは午後 2 時前くらいです。そこで、昼食を取った直後に昼寝をすると、その後の仕事のパフォーマンスを上げることができます。ただし、完全に横たわってしまうのは禁物。さらに時間は最長でも20分までです。それ以上長くなると深い眠りに入ってしまい、かえって効率が悪くなります。目を閉じて、じっとしてしているだけでもある程度の効果はあります。
良い睡眠のためには良い寝具を選ぶことがポイント。なかでも一番大切なのが「寝心地」です。睡眠中の体に「やさしいこと」が絶対条件ですが、体型は人それぞれですし、触り心地なども違います。やはり、その道の専門家に相談するの良いでしょう。
放熱性の良い「麻」は、繊維自体が堅いのが欠点ですが、暑い夏には最適です。今流行の接触冷感の素材(ポリエステル系)は、確かに寝床に入った時は気持ちがいいですが、水分をあまり吸わないため、湿気を感じるのが難点です。「綿」は万能で、季節を問わず湿気をどんどん吸ってくれます。ただ、乾きにくいのが唯一の欠点です。
また、寝具では一般的ではないですが、「シルク」やシルクを使った「真綿」は、汗と一緒に体からの毒素を吸ってくれます。私もシルク素材の靴下をはいていますが、汗臭さがなくなりました。汗をかく人には、湿気がこもらず汚れも付きにくい「ウール」もお勧めです。冬場には、温かさで群を抜く「羽毛」を選ぶのがいいでしょう。
シーツは季節ごとに替えるのが理想です。春は、綿でできたニット系のものを。柔らかくて気持ちいい肌触りが特徴です。夏は断然、麻や絹がおすすめ。「ウール」も年中使えて経済的です。冬には、布団に入った瞬間に冷たく感じることがなく、湿気もこもりにくいガーゼ系のものをお勧めします。