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肌の調子が不安定になりがちな秋・・・。この時期だからこそ知っておきたいカサカサ肌への正しい対処法とは?

2018/10/19

猛烈な暑さを記録した夏も過ぎ去り、ようやく秋到来!・・・と思ったのも束の間、朝夕の冷え込みに冬の訪れを感じ始めている方も多いはず。そんなこの時期の悩みの種といえば、「乾燥」です。毎年のように「カサカサ肌」にお悩みという方もいらっしゃるのではないでしょうか。そこで今回は、皇漢堂林薬局の林誠一さんに、「冬場の肌コンディションの整え方」や「カサカサ肌への対処法」についてお聞きしてきました。

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乾燥がひどくなるのは11月頃から。北風が吹き始める時期からは要注意。

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秋になると肌が乾燥しやすいとお感じになる方が多いと思いますが、実は、一番乾燥しやすいのは秋ではなく冬です。

もちろん、暑い夏から急激に気温が下がり、秋雨前線などの影響で雨が多くなりがちな秋は、体調を崩しやすいのは確かです。雨が降って湿気が多くなり、そこに季節外れの暑さなどが加わると、熱がこもってせきが出やすくなります。ただ、乾燥が本格化してくるのは、もう少し冬が近づいてからのお話です。

そもそも昔でいう秋の季節は、現在の8~10月の時期にあたります。そして冬は今の11~1月でした。実際に本格的な乾燥が始まるのは、昔でいえば冬の始まりにあたる11月頃から。晩秋あたりがいよいよ乾燥の本番ということになります。11月頃になると徐々に北風が吹きはじめます。また、それまでに比べて気温がぐっと低くなります。これにより、冬場は乾燥に苦しめられることになるのです。

このように晩秋から冬にかけてひどくなるのが乾燥です。お肌などの乾燥に苦しんでいる方も多いと思いますが、少しでも症状を緩和させるためには、日々の生活に漢方の考え方をうまく取り入れるのが効果的です。

寒さで血流が悪くなると抜け毛の原因にも。辛いものを食べて代謝を促進するのが効果的。

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そもそも冬が近づいてくると気温が急激に下がってきます。そうすると、厳しい寒さの影響で、体の末端にまで血が巡りにくくなります。そして、血流が悪くなると、体の表面のエネルギーが不足していくのです。これにより、体にはさまざまな症状が現れてきます。例えば、爪が弱くなってしまったり、抜け毛が多くなったりするのもこの時期です。

抜け毛が起こりやすくなるのは、皮膚の末端である頭皮に血液がうまくいかなくなり、髪の毛が栄養不足を起こすのが原因です。また、乾燥もひどくなっていきます。特に目や鼻、口など、外気にふれる部分は要注意です。

漢方の基本である「食養生」の考え方によれば、乾燥に苦しんでいる時には、「辛いものを食べるのが良い」とされています。これは、辛いものを食べると体中の血の巡りがよくなり、代謝が促進される効果をもたらしてくれるからです。

体を冷やす生ものは避け、和菓子など甘いものを食べて肌に潤いを。

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冬が近づいてくると温かい食べ物が恋しくなりますが、例えば、お鍋などで体を温めれば、体中にうまく血を循環させるのに役立つはずです。

また、食べ物でエネルギーを補給し、肌などに潤いを与えるのが目的であれば、甘いものを取るのも有効です。チョコレートよりも、和菓子などの吸収の良いものがおすすめ。ただ、甘い物を口にするときには注意も必要です。そもそも甘いものは体の中に滞りやすいため、食べ過ぎはむくみの原因になります。辛いものを食べて体の中でうまく循環させるようにしましょう。甘い和菓子を温かい生姜湯を飲みながら食べるのも良いです。それ以外には、お肉を食べるのもおすすめです。できれば、牛肉よりも体を温めてくれる豚肉を選ぶのがいいと思います。

一方、体を冷やす原因になるのが、お刺身などの生ものです。冬場に魚などを食べる際には、できる限り煮たり焼いたりしたものを食べるようにしてください。

病気を予防するためにも乾燥は大敵。加湿器やうがいなどの対策で常に適度な湿度を保とう。

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寒い時期に気を付けておきたいのが、暖房器具の取り扱いです。暖房は乾燥の原因になりますから、ぜひ加湿器も併用するようにしましょう。湿度は50%ぐらいに設定しておくのがベストです。

のどや鼻などの粘膜は、乾燥すると菌が付着しやすくなります。インフルエンザなどの病気を予防するためには、室内を乾燥させないようにするのが大事です。うがいをしたり、のど飴をなめたりして、粘膜を乾燥させないような対策を取るのも有効です。

そもそも乾燥は、季節の問題だけではなく、老化現象の一つでもあります。体の中に水分を保持する力が弱くなることで、乾燥肌などが引き起こされるわけです。ちなみに漢方では、乾燥肌などの症状が出るのは、腎が弱くなることが原因だとされています。腎臓の機能を低下させないようにすることが大事です。また、塩分の取り過ぎにも注意してください。水気を吸って皮膚を乾燥させてしまうからです。

漢方の考えを取り入れながら、つらい乾燥の時期を上手に乗り切りましょう。

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