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高齢出産が増えているなか、なるべく安産で赤ちゃんを出産するために気を付けるべき点とは?

2019/02/20

晩婚化が進んだ今の時代、一昔前であれば少数派だった30歳以上の初産婦も、今や当たり前の存在となってきています。ただ、年齢を重ねれば重ねるほど、出産に対するリスクは高まっていくものです。では、高齢出産が増える中、なるべく安産で出産するためには、どうすればいいのでしょうか。正しい知識を身に付けたうえで、来たるべき出産に向けてきちんと準備しておきたいところです。そこで今回は、愛助産院の助産師・梅木美恵子さんに、高齢出産の際に注意すべきポイントや、より良いお産のために心掛けたいことなどをお聞きしました。

梅木 美恵子

いのちを育むカウンセラー

梅木 美恵子

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年齢を重ねると体の機能が変わり、硬くなることで、出産のリスクが高くなりがち。

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そもそも高齢出産とは、35歳以上の初産婦のことを指します。ただ、最近の初産年齢は、30歳を超えることが多くなり、40歳前後ではじめて出産するといった方も珍しくなくなってきています。高齢出産の定義自体は昔も今も変わりありませんが、社会的には、それほど気にしない風潮になりつつあります。

ただ、高齢出産が珍しくなくなったとはいえ、高齢での出産には、やはりそれ相応のリスクが伴います。年齢を重ねることで、回復機能などの体の機能が変化してきますし、骨盤のまわりを含めて徐々に体全体が硬くなっていきます。こうした加齢に伴う体の変化によって、出産時にかかる負荷は若いときよりもどうしても重くなってしまうのです。

高齢出産でもなるべく安産で出産するためには、年齢によって体が変化していることを十分理解した上で、しっかりと準備して出産に臨むことが大事です。

安産のためにも、「心」と「体」の両面からきちんと準備するようにしましょう。

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「安産」という言葉を耳にすることは多いと思いますが、実は「安産」には、明確な定義があるわけではありません。陣痛から出産までの時間が短い=安産という風に捉えられがちですが、そういった定義は設けられていないのです。

とはいえ、体への負担などを考えると、誰もが短い時間で産みたいという希望を持つのは当然です。ただ、そのためには、出産を迎えるために「体づくり」と「心づくり」の両面で、しっかりと準備しておくことがとても大切です。

まず体づくりについては、子宮を温かくし、柔らかい状態に保つようにします。子宮の周りにある骨盤の筋肉が、柔らかく伸縮できるように体づくりをしていきましょう。また、筋肉は冷えていると硬くなってしまうので、温めることが大切です。

心づくりについては、出産に対する不安や恐れを、できる限り取り除くことがポイントになります。体の機能低下を実感している方も多いですし、若い時に比べて社会的な経験を重ねている分、出産について必要以上に不安や恐れを抱き、「お産は怖い」という気持ちがどんどんと膨らんでしまう方が少なくありません。こうした精神状態が続くのは良くありませんから、「お産は楽しい」「お産は気持ちいい」「新しい命が楽しみ」といったポジティブな気持ちに切り替えて、それを大きく持てるような心づくりをしていくことが重要です。

体を動かして体を柔らかくすること、規則正しい食生活を心掛けることが大事。

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ちなみに教科書的な話をすると、初産婦の場合には「12~15時間」が良いお産の目安とされています。また、経産婦であれば、「1人目の時の半分の時間で産むこと」が一つの基準です。もちろん個人差がありますので、良いお産を一概に時間だけで測ることはできませんが、こうした良いお産ができる人というのは、「体が柔らかく、温かい」というのが共通した特徴だと思います。

妊娠中に体を動かしておらず運動不足になっている人や、和式トイレに座るようなしゃがみ込みのポーズができない人は、骨盤まわりが硬くなっています。こうした人は、どうしてもお産が難しくなりがちです。また、安産には、きちんと食事を取ることも大事なポイントの一つ。ご飯を朝・昼・晩と規則正しく食べている人は、出産に必要となる体力が付いていますので、つらい陣痛も乗り越えることができ、しっかりいきむことができます。

私の経験では、「これを食べなきゃいけない」「これじゃなければダメだ」といったこだわりが強い人は、なかなか良い出産をするのが難しい気がします。あまり強いこだわりを持つのではなく、ゆったりとした気持ちでいることが大切です。何かに固執することなく、常に自然体でいることを心掛けましょう。

洋式トイレが主流となったため股関節を広げられず、お産が難しくなっている人が増加。

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もちろん、年齢が若ければ安産なのかというと、必ずしもそうとは言えません。最近は洋式トイレが主流になったため、股関節をしっかり広げることができない人が増えています。また、若い人たちを中心に、イスにだらりともたれて座り、骨盤が前傾している人が増加しています。こうしたことから、若い世代の人たちの間でも、お産が難しくなっている人が少なくないのです。年齢に限らず、「体づくり」と「心づくり」を心掛けるようにしましょう。

また、出産は夫婦で協力することが大事です。パパは、何かと不安になりがちなママの心をきちんと支えてあげましょう。また、新しい命を迎えるために、夫婦で何でも気兼ねなく話せる関係を作っておくことも大事です。産後はもちろんのこと、妊娠中においても、ママの心や体にどんなことが起こっているのかをきちんと理解し、気持ちに寄り添い、ケアしてあげるようにしましょう。

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