特集
2019/04/17
4月から新年度が始まり、そろそろ1ヵ月が過ぎようしていますが、慣れない新生活でお疲れの方も多いのではないでしょうか。「なんだか気分がすぐれない」。「やる気が湧いてこない」。そんなあなたは、もしかしたら一足早く「5月病」になっているのかもしれません。そこで今回は、皇漢堂林薬局の林誠一さんに、お疲れ気味の新生活をうまく乗り切るための「5月病対策」についてお聞きしてきました。
5月といえば一般的には「春」ですが、実は、漢方の世界では「夏」にあたります。「2・3・4月が春」、「5・6・7月が夏」というのが漢方の考え方で、春にきちんと養生していない人は、夏に切り替わる5月に「寒中の病」になることが多いです。
「寒中の病」の「中」とは、「心臓」のことを意味します。夏は、本来であれば心臓が活発になる季節なのですが、それにも関わらず「心臓=心」が冷えてしまう状態のことを「寒中の病」と言います。心は、体の精神作用の中心になるため、これが冷えてしまうと、精神的に鬱状態になってしまう。これが、いわゆる「5月病」にあたります。
「寒中の病」にならないためには、「春の養生」が大事です。春の養生とは、春を迎えたら早寝早起きを心掛け、冬よりも少し活動的な状態を作ること。ところが、エネルギーを発散しなければいけない春の養生の時期に、家に閉じこもっていたり、陽気が停滞していたりすると、夏を迎えても活動的になれなくなってしまうのです。これは、春先に大きなストレスがかかることが原因です。春の時期にあたる2~4月は、ちょうど年度が変わるタイミングで、どうしても無理して頑張り、エネルギーを使いすぎてしまいがち。そして、「5月病」と言われる鬱状態に陥り、なかなか体が動かない状態になってしまうわけです。
もしあなたが「5月病になった」と感じる一方で、いつもと同じように食欲・体力があるなら、休むのではなく体を動かすのがお勧めです。また、気分転換のためにカラオケに出掛けて歌を歌ったりするのも良いでしょう。とにかく気持ちを外に発散させることが大切です。
これとは反対に、体力が低下しているのであれば、エネルギーを回復させるために、甘い物や栄養がある食べ物を食べ、なおかつ、体を動かして気分転換を図るのが良いと思います。お酒を飲みすぎるのはいけませんが、適度に飲んでストレスを発散するのも良いでしょう。
5月病になると、自律神経の乱れが原因で昼と夜の切り換えがうまくできなくなり、眠れなくなる人もいます。そんなときは、「眠らなければいけない」と決めつけないようにすることが大切です。また、なかなか眠くならないのは、あまり活動していないことが原因だとも考えられます。「体力がないから」と家に閉じこもるのではなく、あえて活動的に振る舞い、昼と夜の活動の変化を体に覚えさせるのも良いかもしれません。
5月病になりやすいのは、周囲の人に自分をよく見せようとする人です。また、子どもの頃から「よい子」であることを意識し、自分の本心を抑えたまま過ごしていたり、気持ちを発散する方法を見つけられずにいる人なども多い気がします。こうした人がそのまま大人になり、ストレスをため込んだ結果、5月病のような病気になりがちなのです。
そうはいっても、幼少時代からずっと自分を抑えてきた人が、いきなり生活を変えようとしてもなかなか難しいでしょう。まずは、そんな自分を受け入れ、上手く付き合っていこうと考えることが大事です。そして、身近なところから自分に合った気分転換の方法を見つけること。まずは少しずつでも良いですから、ストレスを発散できるように考えていきましょう。
リラックスの仕方やストレスの解消法は、人によって異なります。例えば、入浴でリラックスする場合でも、人によってはシャワーだけの方がいいかもしれませんし、ゆっくり湯船に浸かっているとのぼせたり、逆に疲れしまうなんてこともあります。くれぐれも自分に合ったものを見つけることが大事です。
また、ストレスを解消するための方法として、「趣味を見つけるのがいい」という話をよく聞くと思いますが、「趣味を見つけないといけない」と考えること自体がストレスになることもあります。無理に趣味を探そうとせず、自分が好きで没頭できることを自然体で見つけるようにしてください。そうすれば、心の平穏を保つのに役立ち、病気にもなりにくくなるはずです。