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単なる不用品処分とはどこが違う? 最近話題の「遺品整理」について、専門業者さんに聞きました。

2019/06/24

最近、耳にする機会が多くなった「遺品整理」という言葉。なんとなく故人の遺品を整理することは分っていても、「具体的にどんなことをしているのか」をきちんと理解している人は、ほとんどいないのではないでしょうか。そこで今回は、愛知・名古屋エリアで遺品整理を手掛ける「(株)トライ・オン事業部かたづけ救急隊」代表取締役社長・山村剛司さんに、「そもそも遺品整理とはどんなものなのか?」といった基本的なお話から、「準備すべきことは?」「良い業者を選ぶポイントは?」といった利用する際の注意点まで詳しくお聞きしました。

佐藤 友哉

お片づけ・不用品処分のプロ!

佐藤 友哉

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それぞれの宗派に合わせて供養を行った後、故人の貴重品などの整理を行います。

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遺品整理とは、基本的にお亡くなりになった後の形見分け、貴重品の整理をすることです。遺品整理を始める前には、それぞれの宗派に合わせて供養を行い、その後、実際の作業に取り掛かることになります。

近年では、家を継がない方がとても多くなっています。そのため最近では、親御さんがお亡くなりになった後、遺品整理に加えて、不用品の処分、老朽化が進んだ住宅の解体、不動産の売却など、一連の作業を一括して依頼される方が増えてきています。

遺品整理を依頼される場合には、故人の品々が整理整頓されていないことが多いでしょうから、はじめに「何を探して欲しいのか」を業者さんにきちんと伝えることが大事です。通帳、印鑑、証券類については、特に依頼がなくても探し出してくれると思いますが、それ以外については、親族の方にしか大切な品かどうかが分からないものもあるからです。大切なもの、残したいものがあれば、業者さんに必ず伝えましょう。

依頼者の立ち会いは、ほとんどが任意です。作業に立ち会う場合には、どうしても長時間に及ぶことになるため、依頼者の方の精神的・体力的な負担は相当なものになります。そこで、自ら立ち会う必要がなく、すべてを安心してお任せできる業者さんを選ぶことが重要になります。

追加料金を請求してくる業者は要注意。片付けの範囲は明確に指示するようにしましょう。

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では、より良い遺品整理業者を選ぶにはどうすればいいのでしょうか。特に注意が必要なのは、見積りが一旦出たにも関わらず、後になって追加料金が発生するようなケースです。見積りを依頼する際、追加料金が発生するかどうかを入念に確認しておいた方が良いでしょう。ちなみに料金については、「ごみの容積率」「重さ」「部屋数」などを基準に決まります。

実際に作業を進めてもらう前には、必ず「片付ける場所」と「片付けない場所」をきちんと指示することが大切です。片付けるべき範囲を明確にせず、あいまいな指示のまま作業を進めてしまうと、依頼者の方の意図に反した対応をされたうえ、最終的に「言った・言わない」のトラブルに発展してしまうことが考えられるからです。

遺品整理業者のなかには、整理して出てきた不用品を、そのまま買い取ってくれる業者もあります。ワンストップで一気にモノを片付けられ、すべての作業が楽に終わらせられるのでおすすめです。「とにかく全部を片付けてキレイにしたい」という方は、すべてを一括でお願いできるかどうかも、業者選びのポイントの一つになるでしょう。

虫が大量に発生していたり、足の踏み場もないような現場でも、基本的には対応可能です。

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現場が汚くなっているため、専門業者への依頼をご遠慮されたり、「そもそも断られるのでは?」と思い込んでいらっしゃる方も少なくないようですが、例えば、虫が大量に発生しているような現場であっても、殺虫作業を行ったうえで遺品整理を行っています。足の踏み場がなく、ゴミの山のような状態の現場でも対応可能です。また、孤独死などで発見が遅れ、ご遺体の腐敗が進んでいた場合などに対応する「特殊清掃」も行っています。

整理で出た廃棄物・不要物については、故人が身につけていたものについては供養するのが基本です。孤独死されていたようなケースについては、その家ごと供養を行ってから整理作業に取り掛かります。ただし、どの業者も必ず供養をしてくれるわけではありません。きちんと供養してくれるかどうかも、良い業者を見分ける際のポイントになるでしょう。

生前整理をしておけば、親族間の相続トラブルを未然に防ぐことにもつながります。

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最近では、お亡くなりになる前の「生前整理」を依頼される方も多くなってきています。ご本人が亡くなった後だと、どこに何があるのかが分からなくなってしまいがち。生前にきちんと整理しておけばこうしたトラブルも発生しません。保険証券などの貴重品を、ご自身が亡くなった後でも家族がちゃんと分かるように残せる。それが生前整理を行う一番のメリットです。

また、生前に身の回りをきちんと整理しておくことは、土地などの相続について、家族できちんと話し合う機会を作ることにもつながります。「相続=争続」などと言われることもあるように、予想もしなかったような揉めごとに発展するケースが多いのが相続です。親族のトラブルを未然に回避するという点からも、生前整理をしておくことをお勧めします。

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