特集
2019/11/28
10月も暑い日が続き、本格的な秋の到来はまだまだ先・・・なんて思っていたら、11月に入った途端、連日のように最低気温が10℃を下回り、急いで冬支度を進めている方も多いのではないでしょうか。特に冷え性の方にとって冬場の冷気は大敵だと思いますが、そんな方にぜひ考えてみて欲しいのが「断熱塗装」です。断熱塗装とは文字通り、外気の熱をシャットアウトする塗装のこと。夏の暑さはもちろん、冬の寒さを伝えにくくする効果もあり、季節を問わず快適に過ごせるすぐれものです。そこで今回は、明彩塗装の高橋亮さんに、断熱塗装とはどんなものなのか、そして断熱塗装の気になる効果についてお聞きしました。
中日教えてナビ
編集部
そもそも断熱塗装とは、熱伝導率の低い塗料を使ってを塗装し、部屋での暮らしをより快適にしてくれる塗装工事のことです。断熱塗装をすれば、エアコンの効きがよくなるため、快適に過ごせるだけでなく、電気代の節約にもつながるのが大きなメリットです。
塗装というと外壁に塗るイメージが強いと思いますが、断熱効果を考えると、外壁ではなく部屋の内部に塗った方がより高い保温効果が見込めます。一方、外壁に断熱塗装を施した場合には、熱に弱いサイディング(外壁に張る仕上げ用の板材)などを保護し、熱による傷みを防いでくれるため、外壁をより長持ちさせることができます。
外壁の色が濃い家にお住まいの方、特に黒色や紺色などの場合、断熱塗装にしておくのがおすすめです。濃い色は熱を吸収しやすいため、塗料の被膜が膨れる「熱膨れ」が起き、塗料が剥がれてしまう恐れがあるからです。
断熱塗装と比較されることが多いのが「遮熱塗装」です。言葉も似ているため、両者を混同されている方もいらっしゃるかもしれませんが、遮熱塗装は、太陽からの紫外線を反射する塗装のことで、家に熱が入るのを遮る効果があります。一方、断熱塗料は、塗料で熱を止める性質を持つもので、どちらも室内を快適に保つ効果が期待できます。
断熱塗装の効果がどれだけ持続するかは、被膜の樹脂によって変わります。また、断熱効果を持つ塗料を、上塗り、中塗り、下塗りのどこで使うかによっても違いが出るため、一概に「○年ぐらい効果が続く」といった言い方はできません。
塗り替えの目安となるのが「チョーキング現象」です。チョーキング現象とは、「白亜化現象」とも呼ばれるもので、外壁を指で触った時、白い粉が付くことを言います。この白い粉は、雨や紫外線によって塗料の中の合成樹脂が分解され、顔料が粉状になって塗装の表面に現れてきたものです。
外壁塗装は、建物の美観に関わるだけでなく、建物を雨風や強い紫外線から保護する役割を担っています。そのため、外観塗装のツヤがなくなってきた、汚れてきたと感じるようになったら塗り替えを検討するタイミングだと考えてください。
実際に断熱塗装に塗り直しを行った後、お客様に「効果はどうですか?」と感想をお聞きする機会も多いですが、遮熱塗料を屋根に施した場合、「夏場の部屋の温度が下がった」とおっしゃる方がほとんどで、だいたい3~5℃ぐらい下がることが多いようです。また、外壁に断熱塗料を塗った方からも同じようなお声をいただいています。夏場にメリットを実感される方が多いですが、室内に冷気が伝わるのを遮断してくれる効果も期待できます。
ただ、遮熱塗料は、もともと部屋の温度を下げるために作られたものではありません。あくまで建物を太陽の強い日差しや温度から守るためのものであり、部屋の温度が落ちるといった効果は副次的なものにすぎません。また、塗料を塗り替えた時には効果を感じやすいですが、翌年以降はそれに慣れてしまい、塗料による恩恵を感じにくくなります。もちろん部屋を快適な温度に保つために一定の効果は期待できると思いますが、あくまでメインの目的は建物を守るためのものだと考え、過度に期待しすぎないようにするのが賢明かもしれません。
外壁塗装の塗り替えをお考えになる時には、まずは業者さんに問い合わせ、見積もりを取ることになると思います。なかには数社から見積もりを取られる方もいらっしゃるかと思いますが、大切なポイントは「同じ条件で揃えること」です。
外壁塗装に使われる塗料は、シリコン、フッ素など、さまざまな素材のものがあります。また、どんな塗り方をするのかによっても金額に差が出てきます。さらに、どれだけ断熱・遮熱効果を出すのか、塗装をどれだけ長持ちさせるのかによっても違います。一般の方からは単純に外壁を塗るだけのように思われがちですが、金額だけで善し悪しを判断できるような簡単なものではないのです。
どんな塗料を使うのか、どのように塗るのかといった条件をきちんと揃えないまま、業者から出てきた見積もり金額だけを比較しても意味がありません。まずは自分がどんな塗装を望んでいるのかをきちんと整理し、条件を揃えたうえで比較することが、より良い業者選びの第一歩だと思います。