特集
2020/12/01
あなたは「ライフエンディング」を意識したことがありますか? 自分の死後には、お墓、葬儀、相続、お金の問題など、さまざまな課題が生じます。こうした課題にきちんと向き合い、解決方法を見つけ出すことがとても大事です。今回は、ライフエンディングの総合メディア「ライフドット(Life.)」の運営責任者としてさまざまなアドバイスを行う株式会社エイチームライフスタイルの奥谷健太さんに、「最良のライフエンディング」について詳しくお聞きしました。
中日教えてナビ
編集部
そもそも「ライフエンディング」という言葉自体に馴染みがない方もいらっしゃるかもしれません。ライフエンディングには、明確な定義があるわけではありませんが、自分の死後に残る課題と向き合い、どのように解決していくのかを考える取り組みのことを指します。
一般的には「終活」という言葉の方が広く浸透していると思いますが、ライフエンディングは「終活」よりもさらに幅広く、さまざまな課題に対処していくイメージです。
あなたが死んだ後には、さまざまな問題が発生します。相続問題がクローズアップされることが多いですが、それ以外にも、「お墓をどのように準備すべきか」、「葬儀はどうすべきか」、「残された家族のお金はどうするのか」など、死後にまつわる課題は非常に多岐に渡ります。
何より重要なのは、こうした課題にしっかりと向き合い、後悔がないように準備をすることです。ただ、実際には、亡くなった人と残された人との間にギャップが生まれ、思わぬトラブルに発展してしまうケースが少なくないのです。
死後にまつわるトラブルは、さまざまな場面で起こります。例えば、お亡くなりになった方の希望で、散骨や樹木葬にしたものの、残された人たちがお参りするところがなく、戸惑ってしまうといった問題が発生することがあります。
そのほかにも、亡くなった人が生前にお墓を建てていたにも関わらず、残された人たちにそのことを伝えておらず、別の新たなお墓を建ててしまい、結果的に片方を墓じまいすることになったというトラブルも起こっています。葬儀では、近親者のみの少人数で執り行ったものの、親戚や近所の人から「お見送りしたかったのに、なぜ呼んでくれなかったのか」と言われたりすることもあります。また、業者に言われるがまま葬儀を行ったところ、費用が思っていた以上に高額となり、「こんなはずじゃなかった」と後悔するといったことも少なくありません。
こうしたトラブルに巻き込まれないよう、目先の情報に振りまわされるのではなく、自分たちに合った最適なプランニングをすることが重要になるのです。
ライフエンディングは、誰にとっても言い出しにくいものです。特に残される側の人から率先して話を切り出すのは、憚られるケースが多いでしょう。それでも、正しい判断ができるうちに、誰もが納得できる解決法を見出すための話し合いをすることが大事です。
おそらく誰しも必要性は感じていると思います。それでも、いよいよ死が差し迫った状況にならなければ、「まだいいや」と先送りにしがちです。いつまでも話し合いの場を持たなければ、どんどんと時間だけが過ぎていってしまいます。何も決められないまま、その時を迎えてしまったら、そこから出来ることは限られてしまう。だからこそ事前に、しっかりと話し合いの場を持つことが大事なのです。
また、亡くなる人自身が「終活ノート」をつけておくことも大事です。残された人たちのために、ご自身の財産の所在を明らかにしておくことはもちろん、葬儀に呼ぶ知人・友人の連絡先など、細かな部分まできちんと記載しておくことで、残された人たちも助かることが多いはずです。
最良のライフエンディングプランを立てるためには、死を迎える人が、死後のことをきちんと把握した上で、「これからどう生きていくのか」を考えることが大事です。なかでも「死を迎えるまでの時間をどのように楽しむのか」「家族とどんな時間を過ごしていくのか」が大切になります。
ライフエンディングを、ポジティブ捉えていただきたいです。死に関わる話題だけにネガティブに捉えてしまう方や、「どうしても話しづらい」という方もいらっしゃるかもしれませんが、「きちんと話すことで問題をすっきりさせる」、そのうえで、「これからの人生をどのように楽しんでいくのか」といったポジティブな捉え方ができれば、きっと取り組みやすくなると思います。
ライフエンディングプランの作成は、なるべく早めにやっておくのがお勧めです。急に亡くなって後悔することがなくなりますし、残りの人生を前向きに捉え、良い思い出をたくさん残すことにもつながるからです。悔いのない最期を迎えるためにも、ぜひ一度、あなた自身のライフエンディングについて考えてみてください。