2016/11/16 09:42
10月に、熊本地震と住宅に関する特別番組が放映されました。
木造住宅に対し、少し誤ったイメージを受ける方々もおられる可能性を感じましたので、筆を取らせていただきます。
熊本県益城町で建てられた最新の耐震基準の建物、130棟余りの内17棟が全壊又は半壊しました。
これは何を意味するのでしょうか。
私は阪神淡路大地震、東日本大震災、熊本地震など地震が起こるたびに、現地を訪れて被害状況などを確かめてきました。
東日本大震災の被災地訪問は毎年行っています。
被災地を訪れる度に学ぶことが多く、お客様の家づくりや施設建築に活かしてきました。
建築基準法もこれらの地震に呼応して基準が見直されてきました。
しかしながら番組でも取り上げられていた壁の直下率という問題だけではありません。
ポイントはまず、大きくみて二つあります。
一つ目は建築基準法はそもそも大地震に対し、命を守ることを主な目的としている点です。
熊本地震で起きたような、震度7 2回、震度6 1回の地震で、建物がほぼ無傷で建っていることを想定していないのです。
この件は番組ではコメントをしていませんでした。
事実、1回目に起きた震度7の時、先に述べた17棟のほとんどがほぼ無傷で建っていたと聞いています。
倒壊又は半壊した17棟のほとんどが、その後におきた2回の震度7の本震により壊れました。
分かりやすく述べると、1回目の震度7の地震の時には壊れずに人命が守られ、非難できた訳です。
これは最新の建築基準の目的を満たしていることになります。
二つ目のポイントは、繰り返し大地震が起きても「住み続けられるか?」という点です。
先ほどの話を例にすると、130棟余りの内、110棟は住み続けることが可能ということになります。
つまり、大地震が繰り返し起きたとしても、軽微な修復で暮らすことが可能な住宅も多々あるということです。
では、その違いはどこにあるのでしょうか。
その違いがなぜ起きたのかについては、次のコラムで書いてみたいと思います。