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阿部 一雄

車いす建築士によるバリアフリー提案!

阿部 一雄 あべ かずお

阿部建設株式会社

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事例・コラム

2021/10/06 00:00

【第1回】住む人の心の負担を取り払って真のバリアフリー住宅を

私は37歳の時に事故による脊髄損傷のため車いすを必要とする障がい者となりました。このコラムはバリアフリー住宅の考え方や未来のバリアフリーのあるべき姿などを建築士として、そして障がい者の目線からお伝えしたいと思います。     阿部一雄

障がい者のうち事故や病気で後天的に障がいを受けた中途障がいの人たちは、多くの場合自分の障がいを受け入れにくくなります。突然の身体的変化に戸惑い、受容できず心を閉ざしてしまうケースもあります。これが心のバリアです。家族や周囲に対して申し訳ない気持ちや迷惑をかけたくないという気持ちから引け目を感じ、自己否定的になって心の負担をさらに増大させます。心のバリアとは心の負担のことです。心のバリアフリーの最初のポイントは、障がい者本人の障がいの受容度を見極めることです。本人の障がいの受容と心の負担の度合いを確認して、接し方を考えます。

心のバリアは障がい者本人だけでなく、障がい者の家族にも築かれます。家族も障がい者と同様、突然障がい者になった家族を受け入れることは困難です。障がい者本人が一番辛いからと自分の感情を押し殺し、気丈に振る舞うことを強いられます。家族という最も身近な存在でありながら過度の気遣いや違和感が生じ、心の負担が蓄積されます。お互いを思い遣るがゆえに本音がいえず、心の負担は家族それぞれの中で大きくなってゆきます。

建築士の仕事は、段差の解消など技術的なバリアフリーだけではありません。住む人の家を考えていく中で家族がどのように障がいを受け止め、どのような未来を描き、どんな生活を望んでいるのかなどを言葉にして語ってもらうことが大切です。それを通してお互いが心に秘めている葛藤や気持ちが吐き出され、心の壁が少しずつ取り払わうことができます。この過程を上手く導く役割を担う人を「トータルバリアフリーコーディネーター」と呼びます。




家族の相互理解の橋渡しも建築士の仕事


後天的に障がいを負った人とその家族は障がいを受け入れることができず、お互いを思い合うあまり本当の気持ちがいえずに心にバリアを作ってしまいます。心のバリアを形成している家族の葛藤や心に秘めた気持ちを、家について考える中で吐き出させて心の負担を軽減し、真のバリアフリーを実現する家を作るのが建築士の仕事です。