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阿部 一雄

車いす建築士によるバリアフリー提案!

阿部 一雄 あべ かずお

阿部建設株式会社

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事例・コラム

2022/01/25 00:00

実例(6)「バリアフリー住宅の動線整理の重要性」後編

バリアフリー住宅には障がい者本人をはじめその家族(高齢者や幼い子供まで)、介護ヘルパーなど様々な人たちが過ごすため、その人たちの動線整理が必要です。動線には内部動線と外部動線の二つの動線を別々に考えることが重要です。動線整理がしっかりできていれば本人及び家族の負担も軽減され快適なバリアフリー住宅での生活が可能になります。今回のコラムは外部動線と内部動線のポイントを二人の障がい者の実例をもとに解説します。

【事例2/U様邸】
大学4年の時に友人が運転する車で交通事故に遭い車いす生活を余儀なくされることになったU様の動線整理についてご紹介します。一般的に障がい者の部屋は1階に設置する場合が殆どです。当初U様も1階の和室とリビングの一部を仕切り、自室とする案で検討していました。しかしながらご家族には生活環境が変わることに対し抵抗感も強く、お母様は心のバリアを抱えたままの状態でした。内部動線の整理を優先した結果私たちが提案したのは「2階の自分の部屋に戻らないか?」でした。昇降機は自室を1階または2階のいずれにするにしろ必要です。専用の玄関を設けそこからホームエレベーターを利用し2階に行くとU様の自室、WIC、水回りスペースを最短で移動できるようにしました。また、ヘルパーさんの出入りも直接U様の自室へ行き来することができるようになり家族と顔を合わせることもなく負担軽減につながりました。こ今まで暮らしていた2階の部屋にU様が戻り、ご家族も今までと変わらない生活を過ごすことができる内部動線を整理したうえで外部動線の整理へと入ることができました。U様もご家族の方も車いすで再び2階の自室へ戻ることなど想像もつかない中、1階の和室やリビングもそのまま残しながら快適な生活を続けられることを可能にした動線整理の重要性はとても大事なことだと痛感しました。
今回の二つの事例はあくまでも一例にすぎません。障がい者本人や家族はそれぞれの生活動線を持っていますし多くの発想や考えにより違った動線の整理方法も考えられます。全体を見渡しバランスを考慮した動線整理が真のバリアフリー住宅には必要です。