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阿部 一雄

車いす建築士によるバリアフリー提案!

阿部 一雄 あべ かずお

阿部建設株式会社

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事例・コラム

2022/04/11 00:00

生きる力を引き出すバリアフリー設計の具体例(2)【M様邸】

9年前に事故により頚髄損傷となられたM様はバリアフリー住宅を建て、そこで奥様やお父様とともに暮らしていました。一般的なバリアフリー工事である引き戸やアプローチのスロープ等は備えてあったもののM様にはそれでも負担が大きく一人で外出できなくなり、引きこもりとなってしまい、そして自暴自棄に陥り、奥様とも離婚に至ってしまいました。この状況を危惧した知人の看護師の紹介によりバリアフリー改修工事を行うことになりました。M様の悩み、要望は「一人で外出したい」「自身で排尿処理をしたい」です。このことを踏まえバリアフリー改修の提案を進めることになりました。

一人で外出できるよう昇降機はリビングの掃き出し窓前に設置。リモコン操作可能な電動雨戸取り付けました。お一人で排尿処理ができるようトイレ内には新たな手洗い器を取り付けました。この1回目の改修工事をきっかけにM様は積極的に外出をするなど前向きな気持ちを持つようになり、その後心理カウンセラーの資格も取得することになります。
2回目の改修工事は離れの新築です。学校での講演活動などもするようになりご自宅での仕事や趣味の活動を広げるためにカウンセリングルームを新築しました。仕事にやりがいを持ち、趣味として楽しむフィギュア制作などM様の生きがいを取り戻す重要なスペースとなりました。そのころには一度離婚をしていた奥様と復縁を果たすことになります。

事故に遭った当時のM様はせっかく建てたバリアフリー住宅も十分機能せず、引きこもりになり自暴自棄になり、そしてその家族も巻き込んでしまいました。そういった中、一人で外出をし、排尿処理もできる1回目のバリアフリー工事がターニングポイントとなりカウンセラーの資格を取得し、2回目のバリアフリー工事、カウンセリングルームの新築へと繋がっていきます。


生きる力を引き出す建築

障がい者とその家族の心と身体のバリアを取り除いた本当のバリアフリー住宅が仕事のやりがいや生活の生きがいを育み、本人とその家族が前向きな人生を歩むことができる「生きる力を引き出す建築」、これが真のバリアフリー住宅と考えます。