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阿部 一雄

車いす建築士によるバリアフリー提案!

阿部 一雄 あべ かずお

阿部建設株式会社

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事例・コラム

2023/01/25 00:00

バリアフリー建築のチェックポイント(3)洗面所・浴室

ヒートショックの予防

暖かい部屋から暖房設備のない部屋へ行くと急激に温度が変化し、体内で血圧が一気に上昇する事でヒートショックを起こしやすくなります。健康な若い世代でも身体的負担が大きく、高齢者の場合は失神や心筋梗塞、脳梗塞などを引き起こす可能性も出てきます。裸になる脱衣所や浴室、洗面所は特に注意すべき場所で、暖房をつけている居室との温度差が10℃以上あると危険とされています。具体的には熱が逃げやすい窓まわりに内窓をつける、浴室専用の暖房器具やエアコンを設置するなどの対策が有効です。

要介護者・高齢者にとっての使いやすさ

浴室の出入り口には段差が設けられていることが多いですが、要介護者にとって段差は大きな障害となります。そのため浴室までの床がフラットなユニットバスを新設するか、既存の浴室をバリアフリー化するために床のかさ上げ工事を行います。そして浴槽までの動線に手すりをつけると、入口から浴槽までの移動や浴槽への出入りが安全に行えるようになります。また足元にゆとりがある薄型カウンタータイプの洗面台は、車いすに座ったままでの手洗いや洗面が可能となり便利です。ちなみに浴槽までの手すりも洗面台も人によって適切な高さは違うため、あらかじめ要介護者・高齢者の立場に立ってシミュレーションしておく事が大切です。


介護者にとっての介護のしやすさ

介護度が重度になるほど介護者の負担も大きくなるため、便利な入浴介助用品を積極的に取り入れた方が賢明です。例えばバスボードを設置すると浴槽に入る前に一旦腰掛けることが出来るため、要介護者が自力で入浴しやすくなります。また半埋め込み式の浴槽や天井走行リフトを導入すれば、入浴動作は各段に楽になります。その他、背もたれ付きのシャワーチェアやシャワーキャリーを使う時の事を想定し、水栓やシャワーを作業しやすい位置に設置するのも有効なリフォームと言えます。

介助の中でも最も体力が必要となるのが入浴介助です。可能であれば寝室から洗面所、浴室までを一直線上に配置し、かつ天井リフトを設置しておけば負担を大きく軽減出来ます。また手すりは位置によって使いやすさが違ってきます。病院の中には浴室を再現して訓練できる所もあるため、まずはここで入浴動作をシミュレーションし、使いやすい手すりの位置を確認していくのが理想的です。