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阿部 一雄

車いす建築士によるバリアフリー提案!

阿部 一雄 あべ かずお

阿部建設株式会社

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事例・コラム

2023/04/14 00:00

バリアフリー住宅の実例(2)3世帯が寄り添い暮らす家

ご依頼者の家族構成は、90代の寝たきりのおじいさま、60代の娘さん夫婦とそのお子さん2人です。「祖父の介護のために水まわりを使いやすくしてほしい」とのご要望から計画がスタートしました。まずは、介護しやすくするためおじいさまの居室をリビングの隣に配置しました。引き戸を開ければご家族の気配を感じられ、移動もスムーズです。同じく水まわりも近くに配置しました。浴室・洗面・トイレを一カ所にまとめることでスペースに余裕が生まれ、介護もしやすくなります。床材には水や衝撃に強い重歩行用の長尺塩ビシートを採用しています。

玄関にはスロープではなく段差昇降機を取り付けました。これにより雨天時でも濡れずに移動ができ、車いすを押して移動するご家族の負担もなくなります。

訪問時に使いやすいよう介護ヘルパー用の駐車スペースと、おじいさまの部屋に直接入れる出入り口を設けました。水まわりもおじいさまの居室のそばにあるため、リビングに繋がる扉を閉めればヘルパーの方が来た時でもご家族のプライバシーは守られます。介護ヘルパーの動線まで考慮することはご家族の心理的負担の軽減にも繋がり、気兼ねなくサービスをお願いすることができます。

リビングダイニングの先はご夫妻のプライベートスペースです。目の不自由な奥さんのために玄関からの動線はシンプルに、年齢を重ねても使いやすいようにトイレや洗面、洗濯室などの水まわりを主寝室の近くに配置しました。洗濯室からは直接デッキテラスに出られます。デッキテラスを外干しできる仕様にすれば、おじいさまのものを含めた大量の洗濯物にも十分対応できます。

2階はお子さんのための空間です。夜遅く帰宅することを踏まえ、ご夫婦の寝室と上下が重ならないようそれぞれの部屋を配置しています。2階にもトイレやミニキッチンを設けることで、快適に過ごせるようになりました。

まとめ
3世帯・5人で暮らすご家族は、同じ家に居ながらも生活リズムはバラバラです。介護しやすい空間、プライバシーを守る動線、音への配慮など、おじいさまだけでなく、目の不自由な奥さまや働いているお子さんたちにも配慮した設計になっています。程よい距離感を保ちながらもそれぞれのライフスタイルを大きく変えることなく、寄り添い合って暮らす住まいです。

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