2024/03/15 00:00
阿部建設では、(公社)愛知建築士会まちづくり委員会バリアフリー特別部会、日本福祉大学(毛利志保准教授研究室)、金城学院大学の皆さんと一緒に全国各地にある宿泊施設を訪れバリアフリー設備などの実態を調査・分析し、「宿泊者」と「宿泊施設」を繋ぐバリアフリー情報発信のための仕組み作りを共同で進めています。その背景には、高齢者・障がい者の方々の宿泊時における「施設・設備に関する情報不足」という課題を解決する狙いがあります。
高齢者・障がい者の方々が仕事や旅行で温泉旅館やホテルに宿泊しようとしても、実際に宿泊できるかどうかは現地へ赴くまで分からない…という実態があります。また、宿泊施設側からの視点と利用者側からの視点、それぞれの立場から見た「バリアフリー仕様」や「使いやすさ」などが異なるケースもあるからです。
バリアフリー化の有無に関わらず、実際の施設や設備の状況がどうなっているか事前に分かれば、利用者の選択肢は広がります。しかしそういった情報を確認する手段は、実際に訪れるか、電話などで直接問い合わせるぐらいしかありません。その手間から利用することを諦めてしまうことが往々にしてあります。
また施設側も、対応に多くの時間を取られ、回答内容によっては誤解を生んでしまうことを懸念し来場をお断りしてしまう場合もあるようです。利用できる施設・利用してほしい施設であるにも関わらず、情報がないことで双方の接点の場を失ってしまっているのです。
そこで、障がいをお持ちの方(私自身含めて)に実際に宿泊施設を訪れていただき、現地を確認し、宿泊時の動作などの詳しい調査を行い、その結果を元に「バリアフリー情報」を公開することで施設や設備の現状を正しく伝え、利用者の幅を広げることができればというのがこの取り組みです。
宿全体はもちろん、入浴・食事・トイレ・お部屋までさまざまなバリアフリー設備を確認していくと、配慮が行き届いた施設は、障がい者・高齢者に限らず、どなたにとっても利用しやすい宿であることを改めて実感しました。
この研究は、宿泊施設はもちろん様々な方のご協力をいただきながらこれからも進めていきます。今後も調査を重ね施設の状況を正確にお伝えし、利用者やその家族が「利用できるか否か」をまずは自身で判断できる「バリアフリー情報サイト」ができればと思っています。