2017/12/11 16:11
概して、日本の気候は、夏場が高温多湿、冬は極度の乾燥をするという特徴があります。また日本列島は長く、北海道の気候と九州沖縄のそれ、また太平洋側と日本海側でも湿度に差があります。元来、ヨーロッパの地中海性気候と風土の中で発展して来たヴァイオリンなどの音楽文化は、特に気候の異なる環境である我が国では、より環境を整えてあげる必要性があるといえます。それは保管する環境の整備、つまりは温度管理、湿度管理が最も重要な要素とはなりますが、それ以外に、自然的な劣化に対して、使用する方々が、自ら気を使うということで十分に対応は可能となります。高湿度は楽器の板の剥がれにつながりますし、剥がれは雑音を引き起こします。乾燥すれば弓毛の縮みが起こったり、ペグの緩みが起こり、絃がうまく張れなくなったりもします。このような特性を使用する方々が理解して、事前に自己対応ができることが理想ではありますが、個人の方々ではなかなか自ら気をつけたり、対処したりするのが困難であることも事実です。季節ごとに、専門のヴァイオリン修理工房で大切な楽器は健康診断をしてもらいましょう。定期的にチェックしてもらうことで、駒などを変形から守り、長持ちさせることもできます。ヴァイオリンなど弦楽器は、購入したら永続的に使用できるものではありません。常に大きな張力と、外気環境が影響を及ぼしますので、メンテナンスをしながら使用していかなければ、良い音を保つことはできませんし、楽器自体の状態も保つことはできません。よく、売ってしまったら売ったままの店舗さんもありますが、本来は、販売したもののメンテナンスまでも責任を持つということが、ヴァイオリンなど弦楽器を販売するものの使命であり、常に高い技術力を提供することが求められていると言えます。楽器購入する際には、メンテナンスが安心して任せられるお店かどうかという見極めも重要な要素であるとも言えます。私どもは地方での展示会なども開催しておりますが、年に各1~2回行うこの機会には、必ず修理技術者が同行し、楽器のチェックやメンテナンスを行っております。専門店のない地域での営業活動を行うとともに、メンテナンス対応という使命も果たすことができるよう、最大限の努力をさせていただき、皆様に安心をご提供出来ればと考えております。