2018/09/19 16:12
このたびの平成30年北海道胆振東部地震によりお亡くなりになられた方々とそのご家族様にお悔みを申し上げますとともに、被害を受けられた方々に心よりお見舞い申し上げます。
私どもでは、長年、北海道においても楽器のご紹介を数多くして参りました。定期的な出張訪問のほかに、年2回の札幌での展示会のみならず、網走、帯広、旭川などでも展示会を開催し、技術者が修理や調整にも当たらせていただいています。そのように縁の深い北海道での地震の被害について大変に憂慮しております。本日までに報告された被害の中、ヴァイオリンの破損事故が1件ございました。私どもでは地震のあった9月6日から3日後に北海道入りし、この楽器をピックアップいたしました。販売するということはこのような緊急時にどのような責任を果たすかということが問われていると言えます。
このヴァイオリンは20世紀を代表する製作家、ミラノ派のGiuseppe Pedrazzini の1904年作のもので、上部より落下した置物の衝突によってスクロール(渦巻き)部分が大きく破損していました。スクロールは製作家の個性と力量を誇示する部分であり、そのオリジナリティが尊重されるところです。表・裏板など他の主要部分は、表板のエッジ部分に損傷がある他は無事でした。今後、私どもが時間をかけて、オリジナル部分をできる限り残しながら修復作業を行なっていきます。
このような事故は、いつ何時わが身に降りかかるかわかりません。決して人ごとではありません。そして、楽器を購入するとき、生徒さんに紹介するとき、購入しようとするお店の修理対応能力や高度な修復技術の有無まで考える必要性があります。本来、ヴァイオリンやチェロは楽器の良し悪しとともに、どこから購入するべきかということを深く考える必要があるものであることを、この機会に是非申し上げたいと思います。
今回、幸いにもオーナー様は地震保険に加入されておりました。万一の盗難や事故に備え、保険へのご加入についてもご検討いただくと良いかもしれません。是非、ご相談ください。