青地　真巳 あおち　なおみ

キャリアの転機(トランジション)とは、一つはある年齢段階において、誰もが共通に乗り越えなければならない課題のことです。またもう一つは、結婚や転職といった個人にとって大きな人生の転換点とも捉えられます。人生１００年時代と言われる昨今、終身雇用制度も終わりを向え、転職や企業、セカンドキャリアからサードキャリアを考えるなど、人生の転機を経験することが多くなってきました。加えて、コロナ禍においては、長期的な視点をもってキャリアを形成する見通しが立てにくくなっています。自分は定年まで働きたいと考えていたが、突然解雇になり失業を余儀なくされることも起こりうることです。社会環境の変化に伴って、職種や働き方を変えざる得ない場合もあるでしょう。このような状況の中で私たちは、誰もが「キャリア・トランジッション」意識して生きていかなくてはなりません。
そして、転機に直面したとき、一人ひとりが自らのキャリアをどのような方向に進めるか、様々な選択肢の中から自らの意志で決定し、転機を乗り越えることが求められます。

では、私たちはどのようにキャリアの転機を乗り越えていけばよいのでしょうか。キャリアの世界では、転機についての乗り越え方は、様々な理論家が研究をしています。代表的な理論の一つにK.シュロスバーグの「４S理論」があります。K.シュロスバーグは、転機への対処の仕方として第一段階:転機(変化)を確認する、第二段階:転機の種類の把握とそれを乗り越えるための力(資源)を点検する、第三段階:変化を受け止め対処する。自分に合った戦略(行動計画)が重要であるとしています。その中でも特に第二段階では、リソース(4S)の点検とその強化が必要と言っています。
(1)状況(Situation):そのような状況(転機)が起きた原因は何か、何を選択したことで生じたのか。
(2)自己(Self):自分はどのようにその変化に対処しようとしているか。
(3)支援(Support):その転機への対処にどのような資源が活用できるか。
(4)戦略(Strategies):状況を変える戦略を具体的にどう実行しているか。
この4Sを吟味し活用することで転機を克服し、乗り越えることができるのです。この考え方が、皆様のこの先訪れる転機を乗り越えるヒントになれば幸いです。