2024/10/29 11:17
3年に一度開催される弦楽器製作コンクール、トリエンナーレ・アントニオ・ストラディヴァリ国際製作コンクール(正式名称はIl Concorso Triennale Internazionale di Liuteria Antonio Stradivari)は、ヴァイオリンの街イタリアのクレモナにて3年に一度行われ、世界中から参加者が集まるという最大規模かつ最高の権威を誇るとされるヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスの製作コンクールです。ヴァイオリンの誕生から 5 世紀、ストラディヴァリとグァルネリ・デル・ジェスの生誕から 300 年以上を経て、クレモナ・ポンキエリ劇場には 21 世紀の最高水準の弦楽器製作者たちが集まりその輝かしい栄冠を讃えられました。
今回で第 17 回目となった「トリエンナーレ」ヴァイオリン製作コンクールは、ユネスコの無形文化遺産に認定されているクレモナの古典的で歴史ある弦楽器製作の精神に則っり、国際的に製作のクオリティを比較しあうことで、さらなる発展を成すことを目的としています。今回も参加者は非常に多く、37 か国から 315 人ものプロの弦楽器製作者がエントリーし、401 もの楽器が審査となりました。トリエンナーレ国際製作コンクールは毎回このような大規模な参加者によって高い製作水準が保たれ、さらに製作者同士が刺激を与え合い磨かれているといえます。審査はクラフトマンとしての技術と品質、芸術性、音響性能の調和が重視され、現代ヴァイオリン製作の最高レベルの競い合いがますますのレベル向上に貢献していると言えるでしょう。
審査員は5 人の音楽家と、製作家らで構成されました。彼らは一見すると単なる個人的な嗜好や満足度の評価に陥ってしまいがちなものを、客観的な芸術のパラメータに変換しなければなりません。これらは複雑な変換であり特別な感性と専門性が必要とされる難しい仕事であります。