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イライラを募らせる妊娠中の妻に対して、夫婦関係をうまく保つためのコミュニケーションの取り方とは?

2021/01/27

妊娠中の女性は、ホルモンバランスの変化などにより、些細なことでイライラしがち。良好な夫婦関係を保つためには、旦那さんがイライラの原因を正しく理解し、奥さんの気持ちに寄り添いながらきめ細かなフォローを行うことが大切です。そこで今回は、「はぐくみサポートゆめたまご」の代表で、アンガーマネジメントコンサルタント™として活躍する稲垣真紀子さんに、妊娠中の妻に対して夫ができる感情のコントロール方法について詳しくお聞きしました。

稲垣 真紀子

未来をはぐくむ子育て教育セミナー講師

稲垣 真紀子

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妊娠中の奥さんの状態とは? イライラの原因は?

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妊娠中の女性は、どうしてもイライラしがちです。これは、ホルモンバランスの変化に加え、つわりなどの体調不良や体重増加で思うように動けなくなるストレスなどが主な原因です。さらに最近は、新型コロナウイルスの感染拡大が続き、今後への心配や不安が増している点も大きく影響していると考えられます。

そもそも「怒り」が生まれるのは、自分の中にある「こうあるべき」という理想が裏切られたときです。出産を楽しみにしながら準備を進め、安心して予定日を迎えられるのが理想ですが、実際には体調不良などが続くことに加えて、新型コロナの影響で仕事や健診、買い物に対する不安を感じ、「里帰り出産ができるか?」「赤ちゃんに影響が出ないか?」といった心配事が重なることで、イライラを募らせることになります。

また、夫の対応への不満も募らせがちです。例えば、「家事を手伝ってくれない」「つわりや体調の変化のつらさを理解してくれない」といったことや、夫の在宅勤務などによってこれまでにない気遣いが必要になったことも、ストレスをため込む要因の一つとなっています。

妊娠中の奥さんのイライラを防ぐ方法とは?

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イライラを軽減するための方法として広く知られているのが、「アンガーマネジメント」です。1970年代にアメリカで発祥した怒りと上手に付き合うための心理トレーニングのことで、アンガーマネジメントの考え方によれば、「こうあるべき」という理想が裏切られて怒りが発生する際、その怒りが大きくなるかどうかは、「マイナスの感情とマイナスの状態」が大きく影響しているとされています。

火をつけるライターで例えるなら、「べきが裏切られること」は着火スイッチ、「怒り」は炎、そして「マイナスの感情と状態」はガスのようなものです。同じ出来事が起きたとしても、それほどイライラしない時と、いつも以上にイライラする時があるのは、「忙しくて疲れがたまっている」「とても眠い」「お腹がすいた」といったマイナスの状態や、「不安」「心配」「つらい」といったマイナスの感情が大きく影響しています。「マイナスの感情と状態=ガス」がいっぱいであればあるほど、怒りの炎は大きくなるわけです。

そのため、奥さんのイライラを軽減するためには、奥さんの「こうあるべき」という理想に寄り添い、怒りを増大させるマイナスの感情、マイナス状態を減らすために配慮することが大事になります。

夫婦のコミュニケーションのポイントとは?

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夫婦間のコミュニケーションのポイントは、奥さんの心身の状態、感情をできるだけ受けとめて理解することです。そのうえで、心配や不安に対して具体的なフォローをしていくことが大切になります。

まずは、夫婦間の会話を増やすところから始めてみてください。お互いの考えを密に話し合うことで、今どんなことに不安や心配を感じているのかを共有し、その対処法を考えていきます。また、相手の気持ちに寄り添うだけでなく、具体的に行動することも大事です。奥さんがいつまでに、どんなフォローを必要としているのかを知り、積極的にアクションを起こすようにしましょう。

例えば、家事の負担が大きいと感じているのであれば、夫の方から家事の具体的なフォローを申し出る。また、新型コロナに対する不安を抱えているのであれば、体調不良などで思うように動けない奥さんに代わり、感染症対策を万全にする。 こういった行動の積み重ねが、怒りを大きくする原因であるマイナスの感情、マイナス状態を減らすことに繋がっていくはずです。また、ストレスをため込まないという点で、うれしいこと、楽しい時間を一緒に過ごすことも大切です。

奥さんのために旦那さんがやってあげられることとは?

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怒りというのは「身近な対象になるほど強くなる」という性質があります。夫に対する愛情が強いからこそ、「夫はこうあるべき」「自分をわかっていてほしい」という願いも強くなるのです。ぜひ妻からの怒りは「今後の改善に向けたリクエストだ」と前向きに捉えてください。そして、お互いが許せないポイントを明確化したうえで共有し、それを実行することで、些細な行き違いから発生するイライラを減らすようにしましょう。

奥さんの妊娠中の大変さを理解し、寄り添う努力を示してくれる旦那さんの姿勢は、出産に向けた何よりのサポートになります。特に、ホルモンバランスの変化によるイライラは、妊婦さん自身もコントロールが難しいものです。旦那さんは多少のことは大目に見るなど、ぜひ寛大な心で対応をするよう心がけてみてください。

妊娠中は、新しい家族との出会いをかなえる幸せな準備期間です。

ご家族みんなが笑顔で新しい命を迎えられるよう、イライラと上手に向き合いながら、健やかに日々を過ごしていきましょう。

出典:一般社団法人日本アンガーマネジメント協会

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