特集
2018/04/09
韓国では国技として多くの人に親しまれ、オリンピック競技にも認定されているテコンドー。日本国内では、空手や柔道などと比べて認知度は今ひとつですが、世界テコンドー連盟には200カ国以上が加盟し、その競技人口は7000万人以上! 国際的なスポーツとして発展を遂げています。そんなテコンドーの魅力は、武道教育に繋がっているため、体だけでなく心も鍛えられることにあります。また、脚を使った激しい運動を繰り返すため、ダイエットにも効果が期待できます。今回は、そんなテコンドーの魅力について、テコンドー師範として指導するTKDアカデミーの土田貴彦さんに詳しくお聞きしました。
テコンドーでいい汗かこう
土田 貴彦
テコンドーとは元々、空手を学んだ韓国の人が独自の改良を加えて完成させたものです。世界的なスポーツ大会の種目としても知られていますが、単に競技というだけでなく、武道教育にも繋がっているのが特徴です。発祥の地・韓国ではとりわけ競技人口が多く、国技として愛されています。その最大の魅力といえば、高度な技術が求められる華麗な足技です。
アマチュアスポーツであることから、安全面に重きを置いたルールがきちんと設けられています。例えば、脚の関節に当たらないようにローキックが禁止されていたり、相手を倒すのではなくポイント制で勝敗を決めたりといった配慮がなされています。
ちなみにテコンドーでも、空手や柔道などと同じように、帯の色で修練程度や実力を表わしています。それぞれの色には意味があり、「白(何もない)」→「黄色(大地)」→「緑(緑の芽)」→「青(青い空に伸び)」→「赤(つぼみをつける)」→「黒」という順番があります。段級ごとに設定された課題をクリアすれば、次の色へと上がることができます。
テコンドーは、年齢に関係なく始められるスポーツです。小さなお子さんや40・50代の中高年の方でも問題ありません。もちろん選手として活躍することを目指す方もいますが、それ以外にも、「護身術を身に付けたい」「美容やダイエットのために」など、人によって目的はさまざまです。また、体だけでなくメンタルを鍛えられるのも大きな魅力です。
テコンドーは、護身術として役立つものですが、実際に使えるかどうかを左右するのは、技のうまさではありません。危険な場面に遭遇した時、動揺せずに冷静さを保つための人間形成が大事になります。技だけを覚えても実際に使えなければ意味がありません。
テコンドーは武道ですから、どうしても人を傷つける術を教えることになります。ただ、その一方で、体得した技をむやみに使わないようにも指導します。
また、テコンドーは、技をかける時、自分のやりたいことだけをやってもうまくかみ合いません。言葉を選びながら相手と会話するようなものです。組み手では、相手の技に応じて自分の技を選びます。そのため、先に先に・・・と相手の技を読むことが大事です。見た目とは裏腹に、将棋のように頭を働かせながらやるスポーツでもあるのです。
お子さんがテコンドーを習う場合のメリットは、体力がつくだけでなく、「自分に自信が持てるようになる」ことが大きいと感じています。また、力が強い子どもからのイジメを抑止する効果もあります。
テコンドーの練習を通じて、自分に自信を持つことが大事です。そうすれば、たとえ周囲の人から傷つく言葉を投げかけられたとしても、常に心を強く保つことができ、多少のことは受け流せるメンタルの強い大人に成長していけるはずです。
子どもたちにテコンドーを教える時は、持ち味である元気の良さを最大限に活かしながら、「あれもダメ」「これもダメ」と縛り付けるのではなく、のびのびと練習に取り組んでもらうことを大切にしています。そして、徐々に上位の帯になっていく課程で、自然に礼儀や我慢の大切さを自分自身で学んでいってもらうのが理想だと考えています。
テコンドーは、ダイエットにも非常に効果があると言われています。体の中で最も大きな筋肉が脚に付いているため、これを大きく動かすことで多くのカロリーを消費できます。また、足の裏やふくらはぎなど、全身に血液を回す働きを持つ脚の裏の筋肉を鍛えることから、自律神経を整える効果も期待できます。
空手は平行移動が中心ですが、テコンドーには波のように動く上下運動があります。つま先の上げ下げなども行います。そのため、体重を減らすだけでなく、筋肉を増やしながらシャープな体を作ることができます。
体を鍛えるだけでなく、メンタルや頭の回転を鍛えるのにも役立つテコンドー。
ぜひ多くの方にその魅力を知っていただきたいと思います。