特集
2018/11/26
穏やかな陽気が続き、スポーツで汗を流すのにはうってつけの秋。日頃の運動不足を解消すべく、体を鍛えられる手頃な運動をお探しの方も多いのではないでしょうか。そんな方にぜひお勧めしたいのが「日本舞踊」。ちょっと意外に思われるかもしれませんが、実は、重心を意識しながら正しい動きを練習することで、体幹が自然と鍛えられるのです。そこで今回は、「日本舞踊 西川流」の師範としてご活躍される西川長秀さんに、その魅力についてお聞きしました。
日本舞踊西川流師範
西川 長秀
日本舞踊は、繰り返し練習を行うことで、体幹を鍛えることができます。身体に極端な負荷を掛けて無理に筋力を付けるのではなく、必要な部分の筋肉だけが鍛えられていくのがポイントです。はじめて日本舞踊をする方には、1本の足の上に体重をかけてゆっくり体を動かす動作は、なかなか難しいはずです。これを練習していくうちに体幹が鍛えられていくのです。
体幹が鍛えられてくると、腰痛の原因となる腹筋や背筋がアップするため、腰痛になりにくい体質になります。また、日本舞踊を通じて姿勢を正すだけでも、腰痛の緩和に繋がることも。日本舞踊を続けていくと、普段の生活の中でも体の変化を徐々に実感できるはずです。
日本舞踊では、丹田(下腹部)に力を入れるのが基本です。まずは丹田を中心に空気を集めるように心掛けて下さい。普段から自律神経が乱れないように意識し、なるべくリラックスして副交感神経を高めるようにすることが大事です。
日本舞踊は、物語を想像しながら右脳で踊るものです。曲に乗りながら「ゆっくり」ではなく、「ゆったり踊る」。とにかく楽しみながら続けることが大事です。早くできる必要はありません。すぐにできない場合でも、徐々に完成していく過程を楽しむようにしましょう。
呼吸を意識することも大切です。常に呼吸と一緒に動くようにし、疲れてきたら大きく深呼吸して心を落ち着かせます。普段の生活の中では、無意識のうちに呼吸が浅くなっていることが多いですから、日々の暮らしの中でも意識してみるといいでしょう。
日本舞踊をしていると、身のこなしが変わり、相手に与える印象も違ってきます。体の動きはもちろん、話し方なども柔らかいイメージになり、印象がぐっと良くなります。それまでがさつだった動きがキレイになれば、普段の生活にもプラスになることが多いはずです。
また、せっかく日本人として暮らしているのですから、男女を問わず、できれば年に1回は着物や浴衣を身に付けて欲しいと思います。和の文化を取り入れ、四季の移ろいを感じることができれば、きっと心が和むはずです。普段の生活とは違ったことを取り入れることがリラックスにも繋がると思います。
最後に、日本舞踊を続けていけば自然と体幹が鍛えられていきますが、あくまで運動とは別物です。芸術であることを忘れず、まずは楽しむことを第一に考え、ぜひ息長く続けていただきたいと思います。