2021/07/05 00:00
保険には日本円建ての商品が多いですが、アメリカドルなどの外貨建て保険もあります。日本円建てでないと不安がある人もいるかもしれませんが、外貨保険にもメリットがあります。デメリットと比較してどちらを選んだ方が良いのかを検討してみましょう
外貨建て保険のメリットとしてよく知られているのが、予定利率が高く設定されていることです。例えば、アメリカドル建ての保険では日本円建てに比べて10倍前後の利率になっているのもあります。ただ、この金利を鵜呑みにしてしまうと失敗してしまう可能性があります。多くの場合、この高い金利は保険にかかわる費用を引いた金額に対して運用される利率が記載されており、実際に支払される保険料のすべてにこの金利が適応されるわけではありません。
また、外貨建て保険は、為替の影響を受けます。金利差が大きかったとしてもドル円の為替レートが変動すると予定していた利益を失うリスクがあります。円安のタイミングで日本円に戻せれば良いですが、円高の状況で円に戻すと損失を生む可能性もあるので注意が必要です。
また、外貨との通貨の交換では為替手数料がかかります。円を使ってドル建てで保険料を支払うときにも、最終的に満期になってから受け取りをするときにも為替手数料がかかるため、最終的に思ったほどの利益を得られないこともあります。
なお、外貨建て保険は分散投資になると言われていますが、ドルと円だけでは分散ではなく相対にしかなりません。購入するタイミングを分けるドルコスト平均法によりリスク分散になるという説明もありますが、ドルコスト平均法は定額購入を意味しているのに対して、外貨建て保険の多くは定量購入をしています。すなわち、円建てで同じ額を購入するのではなく、外貨を定額購入していくという違いがあるので、ドルコスト平均法よりも平均購入価格が高くなることがあります。
外貨建て保険は提示されている利率が高いので魅力に感じる人や提案する側も国内の金利よりも高く、ドルへの信頼などから提案しやすい商品になりますが、厳密には為替やインフレ率などのリスクとメリットがある商品だということ、外貨建てを使う理由や目的などをしっかりと考えたうえで、多くの金融商品の選択肢の一つとしてご検討頂ければと思います。