2019年から相続のルールが大きく変わるそうですが、「女性にとって有利な制度になる」という内容を耳にしました。
具体的に何が有利になるのでしょうか?
教えてください。
投稿日時:2018/11/27 14:06回答1件
平成30年7月の民法改正により、2019年から相続のルールが大きく変わることが決まりました。内容は多岐に渡りますが、「女性(配偶者)にとって有利な制度」として注目を集めているのが「居住権」の創設です。これは今お住いの自宅に関する内容であり、その所有権がご主人である場合に該当します。
■居住権の概要
自宅の所有者であるご主人が亡くなった場合、自宅は相続財産として遺産分割の対象となります。この時、相続人間の中が悪く遺産分割に時間を要したり、分割できる財産が自宅のみの場合、今まで通り自宅に住めないのではと不安になる配偶者が多くいました。今回の民法改正により、配偶者が居住していた自宅に対し「居住権」(自宅に住む権利)が認められるようになりました。居住権には短期居住権と長期居住権の2種類あり、内容は下記の通りです。なお、居住権は配偶者独自の制度で、息子や娘等配偶者以外の相続人には生じません。
(1)短期居住権
被相続人(ご主人)の相続開始から6ヶ月又は遺産分割協議成立のいずれか遅い日まで、配偶者が無償で自宅に住み続けることが出来る権利。短期居住権は登記の必要はなく、被相続人の配偶者であれば相続開始から無条件で成立する権利です。
(2)長期居住権
被相続人(ご主人)の相続開始により相続財産となった自宅について、所有権とは別に居住権を相続できるようになりました。長期居住権は登記でき、原則取得した配偶者の死亡の日まで効力が続きます。所有権を息子、居住権を配偶者が相続する等所有権と居住権を別の方が相続することが可能です。
ご主人の相続後、遺産分割確定までは短期居住権、遺産分割により長期居住権を相続すれば、配偶者は相続まで自宅に住むことが可能となり、「女性によって有利な制度」と考えられています。
注意点として、居住権が設定されている自宅を売却する場合は居住権を抹消登記しないといけない点と、自宅を取り壊す際には居住権が設定されている状態で行うと違法行為となってしまう点があります。
今回ご紹介した居住権は平成32年4月1日からの運用となります。ご主人の死亡により自宅から追い出される心配をしている女性は多く、今回の改正により少しでも安心して自宅に住めるようになると法改正を行った甲斐があるかと思います。女性に有利な改正と思いますので利用を検討いただければ幸いです。
投稿日時:2018/12/18 09:44