特集
2021/03/09
妊娠が分かると多くの人が考え始める「子供の教育費」。一般的に「子供が生まれたら学資保険に!」と言われるように、教育資金を貯めるためによく使われるのが学資保険です。そこで今回は、子供が生まれた後の教育費に関心をお持ちの夫婦のために、学資保険のメリットや加入すべきタイミング、お得な加入方法について、お金の専門家であるファイナンシャルプランナーの服部清和先生に詳しくお聞きしました。
家計のホームドクター
服部 清和
まずは「学資保険がどんな保険なのか」について説明します。学資保険とは、子供の教育費に備えるための貯蓄型の保険のこと。毎月の保険料を支払うことで、必要なタイミングで「満期学資金」としてお金を受け取れます。口座からの引き落としなどで強制的に貯金できるので、貯金が苦手な人におすすめです。
また、契約形態により、契約者である夫婦に万が一のことがあった時、以降の保険料の支払いが免除となり、学資金がそのまま受け取れるのも大きな特長です。子供の医療保険が付いているタイプもあるので、病気やケガによる出費に備えることもできます。
学資保険は、貯蓄性の高い商品を選べば、単に貯金するよりもお金を増やせます。例えば、保険料の支払い総額190万円に対し、大学進学時に200万円を受け取れるというケースもあります。ただ、メリットばかりではありません。学資保険は途中で解約すると、支払った金額よりも戻ってくるお金が少なくなる可能性があります。元本割れのリスクがあることは十分理解しておくことが大事です。
学資保険は、出産予定日の140日前から加入できる商品もあり、入るタイミングが早ければ早いほどお得です。なぜなら、契約者である夫婦の年齢が1歳でも若い方が、月々の保険料が安くなるからです。さらに、今後の保険料の支払い期間が長い方が、返戻金(利回り)も上がる傾向にあります。
どんな保険商品を選ぶべきか、月々の保険料はいくらまでなら払えるかなど、学資保険に入る時には、さまざまなことを決めなければいけません。保険選びで失敗しないためには、目的やライフスタイルに合わせてさまざまな商品を十分比較・検討することが大事になります。そのため、子供が生まれる前の落ち着いた時期にしっかり考えておくのがベストです。
いざ出産後に入ろうと考えても、手続きの時間などが確保できず、加入が遅れてしまうことも考えられます。また、子供が生まれる前に夫婦に万が一のことがあっても保障が受けられるケースが多いことから、子供の将来を考え、妊娠中に加入するのが最も賢い選択だと言えそうです。
少しでも多くの返戻金(満期時に戻ってくるお金)を期待するなら、保険料を一括で支払うのが最も有利です。ただ、数百万円を一度に払うことになるため、簡単ではありません。
そこでおすすめしたいのが「短期型」の積み立てです。一般的には子供が18歳になるまで保険料を支払いますが、これを15歳まで、10歳までといったように短縮するのです。月々の支払いは多くなりますが、その分返戻金も高くなるため、無理のない範囲で効率的に返戻金を増やすことができます。一方で、コツコツと積み立てていきたいという方は、「全期間型」を選ぶのが賢明です。「一括」や「短期型」に比べれば返戻金は少なくなりますが、毎月の負担は小さくなります。
満期学資金を受け取るタイミングもしっかり考えましょう。高校入学に備えたいなら15歳を給付時期に、大学入学に充てたいのであれば18歳に設定します。大学入学に設定した場合でも、入学時に一度に受け取る方法と、学年ごとに分割で受け取る方法があります。
保険の種類によっては、中学入学や高校入学時に「祝い金」がもらえるケースもあります。学資保険といってもさまざまな種類がありますので、自分のニーズやライフプランに合った商品・受け取り方法を選択するようにしてください。
学資保険で失敗しないための一番のポイントは「返戻率」です。返戻率とは支払う保険料に対して、戻ってくる学資金の割合のこと。通常%で表示され「105%」「110%」といった形で設定されています。ただし、返戻率が高い学資保険の場合それなりの契約条件が課されている場合もあるので十分調べるようにしましょう。
学資保険には大きく「保障型」と「貯蓄型」の2種類があります。「保障型」は、教育費の積み立て以外にも、夫婦にもしものことがあった時などに手厚くサポートを受けられるタイプです。保障が充実している分、満期で受け取れる返戻金は少なくなります。
一方の「貯蓄型」はしっかり積み立てができるタイプです。充実した保障はありませんが、契約者が亡くなった場合には保険料の支払いが免除されます。実際に多くの人が選んでいるのは、この「貯蓄型」の学資保険です。
学資保険の契約者は、一般的に夫婦のうち年収の高い方にしますが、遺族年金や民間保険の保障額が抑えられる傾向にある主婦(夫)を契約者にするという選択肢も考えられます。なかには孫のためにと祖父母が契約するケースもありますが、この場合は高齢を理由に加入できないこともあるので要注意です。
さまざまな保険のすべてを把握するのは難しいですが、注意すべきポイントを押さえたうえで大切な子供の未来のためにくれぐれもよく考えて加入するようにしましょう。