相続人は長男(喪主)と次男(私)の2名です。遺産は土地・家屋(評価金額わからず))と預貯金(約4000万⇒内現金1000万)です。
葬儀費用は約400万かかり、現金1000万を預かっていた私が400万支払いをしました。別途葬儀の香典130万は長男が預かっている状態です(葬儀後の墓石等費用で残金は不明)。
母は既に他界しており、昨年父が亡くなった後の、口頭での取り交わしでは、土地・家屋は長男の相続(現在埼玉県に在住)、預貯金は折半となっていました。
先日長男より遺産分割協議内容として「負の相続」名目で3つの内容が郵送されてきました。
預貯金(約4000万)より「負の遺産」を差し引き、残金を相続人2名で折半するとの内容でした。
内容は
(1)法事(33回忌まで)+墓守・寺費用=470万 (2)親戚関係(18名)の葬儀出席・香典費用(交通費:ガソリン+高速代含む)=300万 (3)家の維持・管理費(水道・ガス・電気等、固定資産税・火災保険料、町内会費、廃品処理費)=60万/年、(4)相続手続費用=50万で合計880万。
内容確認しますと、1.預貯金3600万(葬儀費用は使用したまま)より「負の相続:880万」を減じ、計2,620万を相続人2名で折半(各1,310万)する。2.土地・家屋は長男が相続、となります。
ご質問したい内容としては
(1) 長男が示している「負の遺産」とは法的に認められる内容ですか?
(2) (1)の認められる内容と認められない内容があれば教えていただきたい。
(3) 現金資産1000万(私の預かり)より葬儀費用として400万を差し引いて遺産計上(4000万⇒3600万)しているのは正しいのか?
(4)家の維持・管理内容の中で、但し書きとして「この費用については相続手続き開始から1年分を計上。開始されなければ、この費用は継続して父の負担となる」となっているのですが、この場合維持・管理の責任の所在は法的には誰にあるのか、認められる内容なのか? ちなみに長男は現在転勤で埼玉県に在住(家族共)していますが、主だった荷物(家財)は実家(愛知)においてある状態で元々実家に戻る定です。
上記4点についてご回答とその他アドバイスをよろしくお願いします。
投稿日時:2015/06/29 09:44回答2件
遺産分割の協議は相続人間の合意の成立でなされるものであり、法定相続分に従った合意や、家庭裁判所の審判例に従って定める必要は
ありません。
従って、相続人間の合意で、ある相続人の遺産取得分は100パーセントで、他の相続人の遺産取得分がゼロでも法的に間違いではありません。
「子孫に美田を残さず」という明言を残した偉人もおられるように、親に生んでもらい、育ててもらっただけで十分で親の遺産は要りません。後は自分の力で生きて行きますという考えの方も中にはおられます。
よって、長男さんの提案は法的に間違ってはいません。
遺産分割協議のレベルでは、民法の定める法定相続分に従った分割の基本方針は適用されませんし、これに拘束されません。
しかし、相続人間の遺産分割協議や遺産分割調停で話し合いがつかない場合、裁判機関である家庭裁判所審判官(裁判官)は、民法などに法令により遺産分割の審判を下します。審判の場合、葬儀費用、葬儀出席・香典等の費用、遺産の管理費用はいずれも原則として遺産分割の対象とはなりません。
投稿日時:2014/11/11 11:55
口頭での遺産分割協議とのことですが、正式な遺産分割協議書が作成されていないとすれば、貴殿にも2分の1の法定相続分がありますので、土地・建物及び預貯金の半分について権利を主張することができます。
「負の相続」とか「負の遺産」という言葉は法律的な概念ではありません。
ただ、被相続人に債務(借金)があれば、その債務については法定相続分に応じて、当然に分割されて債務を負担することになりますので、それを「負の相続」、「負の遺産」と表現するのであれば理解できないわけではありません。
長男が主張したいところは、「相続財産に関する費用」であり、それは相続財産の中から支弁するという規定(民法885条)の適用にあります。
したがって、問題は、長男の主張する「負の遺産」が「相続財産に関する費用」に該当するか否かという点にあります。
葬儀費用については、喪主負担説、相続人負担説、相続財産負担説、慣習・条理説など種々の考え方があります。
現実的には遺産・相続人の負担として遺産分割の過程で決着を付けるのが合理的と言えましょう。
(1)は、本来、祭祀承継者が負担すべきものと考えます。(2)は、慣習がない限り、本来、出席した個人が負担すべきものです。
ちなみに、相続税法では葬式費用につき相続財産から控除することを認めていますが、香典返返戻費用や墓地購入費や法会に要する費用につき相続財産からの控除を認めていません。
(3)は「相続財産に関する費用」に該当すると思われます。ただ、町内会費や水道光熱費は土地・建物を取得する相続人が負担するのが公平と考えます。
(4)相続手続費用ですが、おそらく基礎控除額を超えない相続財産であり税理士の申告費用はかかりませんので、専ら相続登記手続費用と考えられます。これは土地・建物を取得する相続人が負担すべきと考えます。
喪主負担説を採用しない限り、葬儀費用を相続財産から控除することは相当と考えます。
具体的に遺産分割が行われるまでは遺産は共同相続人の共有財産ですので、維持・管理の責任は各相続人の相続分に応じてあります。
もし、長男一人が維持・管理を行っているとすれば、家財道具を置いていたとしても貴殿が不服を言うことは難しいと考えます。
投稿日時:2014/09/29 09:34