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これで夏の暑さも解消! 快適な住空間を手に入れるために押さえておきたいリフォームのポイントとは?

2018/07/02

いよいよ夏本番を迎えましたが、この時期になるとよく聞こえてくるのが「家の二階が暑くて大変!」という声です。部屋中に熱がこもってしまい、「クーラーなしではとても暮らせない!」という人もきっと多いに違いありません。そこで今回は、株式会社友建の山田昌昭さんに、夏でも快適な住空間を作るためのリフォームのコツについて教えていただきました。これであなたの我が家も、暑さ知らずの快適空間に生まれ変わるかもしれません。

山田 昌昭

家を造り守るかかりつけ大工を育成する

山田 昌昭

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家の二階が暑くなるのは、屋根と天井の間の空間「小屋裏」に熱がこもるのが原因。

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夏場に二階が暑くなる一番の原因は、二階の小屋裏の換気量不足が考えられます。小屋裏とは、屋根と天井の間にできる空間のことで、ここに熱がこもらないように換気を良くすることが暑さ対策の重要なポイントになります。

ただ、換気ができるようにするには、換気孔を設ける必要が出てきます。具体的には、屋根が出ている軒裏に通気孔を作り、ここから風を通して熱を逃がす方法を取るわけですが、こうしたリフォームには多額の費用が掛かります。

そこで考えたいのが、小屋裏の熱が宅内に伝わらないようにする断熱工事です。きちんと断熱材を入れているという住宅でも、天井の上に断熱材が入ってはいるものの、壁の上部(壁内部の天井との取り合い部分)には断熱材が使われていないというケースが結構多いです。こうした場合、壁の上部から熱が伝わってきて、まるで壁がヒーターのように熱を帯びてしまうのです。

新築時にきちんと工事がされていればいいのですが、これらの気流止めがなされていないなど、適切な対策が取られていない場合もあります。断熱材が入っていればいいのではなく、断熱の意味を理解した上で工事が行われているかが大事です。最近の家であればまず大丈夫ですが、20年以上前の住宅の場合、正しい断熱工事がなされていない場合も少なくありません。リフォームで暑さ対策を考えるなら、まずは断熱工事から検討してみるのが良いでしょう。

断熱材の善し悪しよりも施工方法が大事。リフォームするなら外皮計算ができる業者を。

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断熱材の価格が高ければ高い方がいいと思われがちですが、素材よりも重要なのは、きちんとした施工が行われているかどうかです。特に断熱とあわせて気密性をセットで考えることが大切であり、いかに気密工事がなされているかで、熱の伝わり方に大きな差が出てきます。

そのほか、暑さ対策としては、窓の周りのリフォームも検討の余地があります。最近では窓に遮熱効果がある塗料を塗る方法も出てきていますが、その効果がなかなか見えにくいのが実情です。やはり窓をペアガラスにしたり、内窓を設けたりするのがより効果的だと言えるでしょう。ただ、こうした方法も、外壁の断熱工事がきちんとできていなければ効果は限定的です。窓だけで室内の暑さを大幅に改善するのは難しいでしょう。

最近では、断熱性能を数値で客観的に判断する「外皮計算」を用いることが主流になっています。外壁の面積に対してどれだけの断熱材を用いているのかによって断熱性能を算出する方法ですが、リフォームをお願いする会社を選ぶ際には、この外皮計算をきちんとできる業者を選ぶのがおすすめです。

鉄骨住宅は気密性の工事が難しく、高気密・高断熱の家は木造の方が作りやすい。

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一見すると、鉄骨住宅と木造住宅とでは室内の暑さに違いが出てきそうですが、断熱工事さえきちんとなされていれば、どちらでも大きな差はないものです。

鉄骨住宅では木造に比べて開口部を大きく取ることができます。重量鉄骨であればさらに大きな開口を実現することも可能です。鉄骨造の場合、骨組みの間や、外壁ALCと骨組みの取り合い等、隙間風が通りやすくなるというデメリットもあります。隙間風が屋外の熱い空気を運んでくるため、気密性の高い工事がなされているかどうかがポイントになります。鉄骨住宅では、冬場に鉄骨部分に結露が発生しやすい為、この気密工事は重要な工事となるものの、木造より困難な作りになりがちです。

そのため、高気密・高断熱の家を作るのであれば、木造の方が向いていると言えるでしょう。ただ、昔の住宅は隙間風だらけ。一方で、最近の住宅は、隙間風が出にくい施工方法が使われるようになっています。

冬暖かい家はどうしても夏暑くなりがち。風通しのよい家にすることがポイントに。

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冬に寒くならないように建てた家は、どうしても夏は暑くなりがちです。気密性を高めて外の冷たい空気が入らないようにしているので冬は暖かいわけですが、逆に夏になると、キッチンなど人間が活動することで発する熱を室内に蓄えてしまうため、クーラーを使わずにいると、どうしても暑くなってしまうのです。

エアコンをあまり使いたくないのであれば、風通りの良い家にすることが大事です。風を感じる家にすれば、同じ気温でも風を感じることで体感温度が下がります。取り入れる窓は大きくしてはき出す窓は小さくする、高低差を付ける、風がどちらから吹いてくるのかを考えるなど、いかに家の中に風を取り入れるのかを考えて建てることが大切になります。

そのほか、大規模なリフォームをせずに簡単に涼しくする方法としては、出し入れできるシェードを設置したり、つる性の植物を栽培したりして、夏の強い日差しを遮るのがいいでしょう。また、庭がコンクリートなどで覆われている場合には、暑くなりにくい木の素材を選んでウッドデッキを設置し、照り返しを防ぐのもおすすめです。

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