2021/10/29 00:00
建築士が適切なバリアフリーを行えば、障がいを持つ方の悩みの種となっている日常生活の不便を解消することは可能です。しかし、この『適切なバリアフリー』というものが難しいのです。その理由は建築士の考える障がい者の不便と、障がい者が実感している不便が異なる可能性があるからです。どのような施工をすればバリアフリーになるのかは、一般的なデータや知識などでおおまかに決めることはできます。しかし、それぞれの障がい者の状態は異なる場合を多く、テンプレート通りにバリアフリーをおこなってしまうと日常生活に役に立たないこともあり、かえって新たな不便をもたらしてしまうことも考えられます。
適切なバリアフリー実現のためには、建築士は障がい者の視点も取り入れなければいけません。障がいの種類を知り、本人の意見を聞いて、どのような工夫が日常生活の不便を解消できるのか考える必要があります。ただし、障がいを持つ本人も何をやれば、快適に暮らせるのか分かっていないケースもあります。そのときは建築士が持つデータや知識を最大限に活用し、障がい者といっしょにベストなバリアフリーを考えることが重要です。
障がいの種類によって、他者から介助を受けなければいけない方もいます。そのような障がい者の視点を考えるなら、そこに介助者の視点も含めなければいけません。障がい者の視点を完璧に把握するのはかなり難しいのですが、介助者の視点を知るのは、実際に試してみればよいだけなのでそう難しくはないかもしれません。実際に介助を行ってみれば、トイレの前後左右のスペースや廊下の幅など、どのくらい必要なのか確認ができます。データや知識も大切ですが、体験することも理解するためには必要です。
それぞれの視点を理解して完璧なバリアフリーを目指す
それぞれの視点をしっかりと理解してバリアフリーに取り組めば、障がい者が暮らしやすい日常を作り上げることができます。しかしながら障がいが進むことによって、現在のバリアフリーでは不十分になる可能性があるのを知っておかなければいけません。そのため、将来のそれぞれの視点も加えるようにすれば、より一層障がい者に寄り添ったバリアフリーを目指せるでしょう。