2024/08/13 10:01
前回のコラム、「能登半島地震から約8カ月」で話し足りなかった部分を少し…。
私は阪神・淡路大震災以降、大きな震災が起きた際には、現地に行きこの目でその現状を確かめてきました。
新潟県中越地震、東日本大震災、熊本地震、能登半島地震…。
訪れる度にこれまでの“当たり前”を覆されるような、自然の恐ろしさを思い知らされました。
今年の2月に訪れた石川県。能登半島地震は、比較的地震の発生確立が低いと言われていた地域で起こりました。そのため、日本において「地震が起きない場所はない」ということが実証された形に…。
実際に現地を訪れてみると、高齢化に加え過疎化も進んでいるためか築年数が古い住宅が多数あり、そのような築古住宅への被害が目立っていました。
一方で築年数が浅い住宅は比較的被害が少なく、住み続けることが可能な住宅も多数ありました。ライフラインが復旧した段階で普段の生活が送れる住宅です。
こうした状況を考えると、大地震や洪水などの自然災害に遭ったとしても、その後「住み続けられるか」が重要になってくると言えます。
家自体の強度はもちろんですが、地盤強度、液状化リスク、ハザードマップの確認などを行い、地域的・地形的な要素も十分加味した上で建てることも重要なポイントです。また、ライフラインが止まっても蓄電池や太陽光発電などを駆使して、一定期間住み続けられる工夫も必要となってくると感じました。
私たちが住む東海地域では地盤が弱く、液状化の心配があるところに建てるしか選択肢がない場合もあります。加えて洪水の危険性がある地域も多数存在します。そうした条件でも、地震や洪水が起きた場合を想定し、少しでも被害を抑え「住み続けられる住宅」にするために耐震性や耐風圧と呼ばれる性能を高くすることや、揺れを低減する「制震ダンパー」の採用。水害が起きた場合の水深を予測して2階又は近くの高台へ避難が可能かなども設計段階で確認します。また、液状化対策として砕石パイル工法を採用したり、津波対策として、南北に一部弱い壁をつくることで波が抜けるようにするなど、さまざまな視点から“安心・安全”を考えます。
地震はいつ起きるか誰も分かりません。だからこそ、被害を最小限に抑える備えも重要な家づくりの要素のひとつと考えます。