2013/05/16 17:08
●古い慣習との戦い
社員を採用するにあたりまず直面したのが、古い慣習である丁稚奉公(でっちぼうこう)という考え方でした。
多くの工務店が大工を若手採用するに当り、今でも取り入れているのが丁稚奉公です。私も京都で修業をした際にはこの言い方による採用でした。基本的な給料という考え方とは異なり、寸志(小遣い)に似た給料形態となります。
しかしながら、今日の労働基準法では会社(法人)とする企業にはこの慣習は難しく、また、悪い雇用環境になる事も多い事から、若者から人気の無い職業になってしまいました。
大工工事は基本 ㎡(坪)に対して対価が決められ、物を作る事により収入を得る仕事です。その為ハウスメーカーやリフォーム会社が営業し、大工がその下請けとなる時代になる事で、コストが厳しくなり、一人前の大工が 15000円から20000円を一日に得る事が難しい程の状況になってしまいました。ここには、諸経費や道具代、車や維持費等も含まれており、さらには保険代や健康保険、これではサラリーマンの平均収入よりも悪いのが現状です。
その収入で人を雇い育成する事が難しいのは当たり前の事です。若手の給料で考えると、一年目の大工見習いが親方の仕事の1/4にも満たない事など当たり前で、それで給料を換算すると最低賃金にも満たない計算になります。
●新しい大工の育成方法
友建では正社員雇用を行ってきました。職人の育成に社会保険を適用し、厚生年金を掛け、雇用保険から労災まできちんと適用した形で雇用を開始しました。
また、大工の社会は請負業であり、会社員と仕組みが全く異なる社会である事から、採算表等の仕組み作りもこの会社にあった作り替えを行い、評価手法も独自に作ってきました。
修得技術に合わせて仕事をさせ、高い技術者に技術レベルの高い仕事をしてもらう仕組みを作りあげました。これにより無駄のないコストパフォーマンスを得る事が出来、それぞれが自分の収入分を稼げない時期を減らし、早い段階で収益に貢献できるように目標を設定しました。
これにより基本的な仕組みが出来上がり、次なる段階へと友建は進みだしました。
次回は 第四回「友建の育成方針」