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後東 博 ごとう ひろし

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事例・コラム

2023/11/10 13:24

30年後サブリース契約アパートの末路、その2

30年後サブリース会社から契約解除されたオーナーには4つ大問題が発生
 サブリース契約はオーナーから契約を解約することは非常に困難ですが、サブリース会社から一方的な契約解除は可能です。サブリース会社から契約解除を申し出る場合には、アパート経営が上手くいってない状態、つまり、全く儲からない賃貸経営状態か或は何か非常に困難な出来事が発生した場合に、オーナーに返却される可能性が相当高くなります。
 契約解除されたらオーナー自身が自分でアパート経営することになりますが、オーナーは30年間ほったらかし経営で賃貸経営した経験もまったくありません。儲からない経営を続けるのか、それとも、入居者を立退き交渉して退出させ、建物を解体して更地にするのかの選択を迫られます。
 ところが、オーナーが入居者の立退き交渉などで成功するためには、4つの相当高いハードルがあります。

1つ目は、入居者を立退きさせるための資金を、金融機関は絶対に融資しないので自分で資金調達しなければならないことです。

2つ目は、入居者の立退き交渉をサブリース会社はしません。オーナー自身が自分でやらなければなりません。その理由は、不動産業者などに立退き交渉を依頼することは法律で禁止されているからです。

3つ目は、立退き交渉するオーナーは入居者と面識がありません。入居者募集も入居者管理もサブリース会社に一任しているため、入居者を選ぶことはできません。面識のない入居者とどのように交渉するのでしょうか?
30年以上経過した物件に低い家賃で入居している人は、どのような属性なのか?モラルのある人か、ない人かも分かりません。この人達とオーナーはどのような立退き交渉をするのでしょうか?

4つ目は、立退き交渉し入居者を退出させ、建物を解体し更地にした場合です。更地の売却金額が低く、立退き交渉費用や建物解体費用が上回る可能性が多いことです。

参考文献:
後東博著「サブリース契約の罠、サブリース契約で地主が『土地持ち死産家Ⓡ』になるワケ」(日本橋出版)