• 住宅・不動産
  • マネー・保険
の専門家

後東 博

どんな相続・遺言・不動産問題もお任せ

後東 博 ごとう ひろし

愛知相続サブリース・老朽アパート研究所

お問い合わせ
愛知相続サブリース・老朽アパート研究所
052-569-2986

対応エリア

  • 名古屋
  • 住宅・不動産
  • マネー・保険

事例・コラム

2023/11/10 13:24

30年後サブリース契約アパートの末路、その3

築30年超のサブリース物件の売却は非常に困難
 銀行の融資期間は原則法定耐用年数内で行われます。従って、中古のアパート・マンションの場合、返済期間が短くなるか、或は融資されないことになります。
構造別の法定耐用年数
中古物件の法定耐用年数
1、新築の耐用年数を全て経過した建物の場合、
法定耐用年数×20%
例えば、
(1)築30年のサブリース契約の木造アパートのケース
22年×20%=4.4年で法定耐用年数4年です。
(2)築30年のサブリース契約の厚さ3~4mmの軽量鉄骨アパートのケース
27年×20%=5.4年で法定耐用年数5年です。
尚、1年未満は切り捨て、2年未満は2年とします。

法定耐用年数を超えた物件を売却する場合、最大の問題は金融機関が購入者に融資をするのかということです。金融機関は法定耐用年数が経過した物件は、建物評価額を0円とします。そのため金融機関から融資を受けられない可能性が非常に高くなります。金融機関の判断とて、債務不履行になった場合に物件を差し押さえる必要があるからです。つまり、担保価値がないのです。
その結果、購入者が融資を受けることができない物件は、売却が非常に困難になります。購入者は全額自己資金を用意しなければならないからです。そもそもサブリース物件は、儲からない、利回りが低い、売買価格が安い、サブリース契約の解約が困難、金融機関の融資が下りづらいなどの理由で、購入者を探すことが非常に困難になるからです。
中古物件の建物評価は0円でも、土地は減価償却資産ではなく、路線価で評価することができ、この土地の評価によって融資を受けられる場合もあります。但し、土地が東京都心部にある場合などです。30年後、地方圏や大都市郊外などで地価が下落している場合には難しくなります。
更地にすることで購入者は解体費用を負担する必要がなく売却しやすくなります。この場合の最大の問題点は、物件を解体して更地にする前の入居者の立退き交渉と立退き費用問題です。繰り返しになりますが、立退き交渉は不動産会社に依頼することが法律で禁止されているので、オーナー自身が全額自己資金を使って自分でやらなければなりません。


参考文献:
後東博著「サブリース契約の罠、サブリース契約で地主が『土地持ち死産家Ⓡ』になるワケ」(日本橋出版)